公正証書遺言を作成したいけれど、立会人って誰にお願いすればいいの?身内でも大丈夫?費用はどのくらいかかるの?そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
公正証書遺言の作成には、法律で定められた2名以上の証人(立会人)の立会いが必要です。しかし、誰でも立会人になれるわけではなく、法的な制限があります。間違った選択をしてしまうと、せっかく作成した遺言書が無効になってしまう可能性も。
この記事では、公正証書遺言の立会人について、2026年最新の情報をもとに、必要な条件から費用相場、具体的な依頼方法まで分かりやすく解説します。
公正証書遺言の立会人とは?基礎知識から役割まで

公正証書遺言の立会人(証人)とは、遺言者の意思の確認と手続きの適正さを担保するために必要な、法律で定められた重要な役割を担う人物です。
立会人の基本的な役割
立会人は、公正証書遺言の作成過程において以下の重要な確認作業を行います。
- 遺言者が本人であるかの確認
- 遺言者の判断能力が正常であるかの確認
- 遺言者が自らの意思で遺言内容を伝えているかの確認
- 公証人の筆記内容が遺言者の口述内容と一致しているかの確認
これらの確認は、後日遺言書の有効性が争われた際の重要な証拠となります。立会人は単に形式的に立ち会うだけではなく、遺言の真正性を保証する重要な証人としての役割を果たしているのです。
なぜ立会人が必要なのか
民法では、公正証書遺言の作成に際して必ず2名以上の証人の立会いを義務付けています。これは、遺言者の真意を確保し、後日のトラブルを防ぐためです。
特に高齢者の場合、認知症などで判断能力が低下している可能性もあるため、第三者である立会人が遺言者の意思能力を確認することで、遺言の信頼性が高まります。
立会人になれる人・なれない人|欠格事由を詳しく解説

公正証書遺言の立会人には、民法974条で定められた厳格な資格要件があります。これらの要件を満たさない人が立会人となった場合、公正証書遺言そのものが無効になってしまうため、十分な注意が必要です。
立会人になれない人(欠格者)
以下に該当する人は、法律により立会人になることができません。
- 未成年者:20歳未満の人
- 推定相続人:遺言者が亡くなった際に相続人となる予定の人
- 受遺者:遺言によって財産を受け取る予定の人
- 推定相続人・受遺者の配偶者および直系血族:父母、祖父母、子、孫など
- 公証人の配偶者
- 公証人の四親等内の親族
- 公証人の書記および使用人
身内でも立会人になれるケース
原則として推定相続人や受遺者とその配偶者・直系血族は立会人になれませんが、例外的なケースもあります。
たとえば、遺言者に子がいる場合、遺言者の兄弟姉妹は推定相続人ではなくなるため、立会人になることが可能です。また、伯父、伯母、甥、姪などの傍系血族も、受遺者でなければ証人になることができます。
ただし、これらのケースでも慎重な判断が必要なため、専門家に相談することをおすすめします。
欠格者を立会人にしてしまった場合のリスク
欠格事由に該当する人を立会人にしてしまうと、公正証書遺言が無効になってしまいます。これは遺言者の意図が無駄になるだけでなく、相続人間でのトラブルの原因にもなりかねません。
特に、自分で知人などに依頼する場合は、欠格事由に該当しないかを慎重に判断することが大切です。
立会人の見つけ方と依頼方法|3つの選択肢を比較

公正証書遺言の立会人を確保する方法は、主に3つあります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分に最適な方法を選びましょう。
公証役場に紹介を依頼する方法
最も確実で安心な方法が、公証役場に証人の紹介を依頼することです。日本公証人連合会によると、適当な証人が見当たらない場合には公証役場で紹介することが可能とされています。
メリット
- 欠格事由に該当しない適切な証人を紹介してもらえる
- 手続きに慣れているため、スムーズに進行する
- 守秘義務について十分理解している
デメリット
- 費用がかかる(証人1名につき約6,000円~10,000円程度)
- 事前の予約や調整が必要
専門家に依頼する方法
司法書士や行政書士、弁護士などの法律専門家に依頼する方法も一般的です。
費用相場
- 司法書士:7,000円~15,000円程度/1名
- 行政書士:7,000円~15,000円程度/1名
- 遺言書作成サービスとセット:行政書士5~10万円程度、司法書士5~20万円程度、弁護士20~30万円程度
メリット
- 法律の専門知識があり安心
- 遺言書作成から一貫してサポートを受けられる
- アフターフォローも期待できる
デメリット
- 費用が比較的高い
- 事前の相談や打ち合わせが必要
知人・友人に依頼する方法
信頼できる知人や友人に依頼する方法もあります。
メリット
- 費用を抑えられる(謝礼として数千円~数万円程度)
- 遺言者をよく知る人に立ち会ってもらえる
- 手続きの調整がしやすい
デメリット
- 欠格事由の判断を自分で行う必要がある
- 守秘義務について説明が必要
- 後日証言を求められる可能性がある
専門家は、証人には遺言内容の秘密を極力外部に漏らさないためにも、信頼できる知人や司法書士などの専門家が適していると指摘しています。
立会人に関する費用と相場|2026年最新データ

公正証書遺言の立会人にかかる費用は、依頼先によって大きく異なります。2026年の最新データをもとに、詳しい費用相場を見ていきましょう。
公証役場紹介の場合の費用
公証役場に証人の紹介を依頼した場合、証人1名につき約6,000円~10,000円程度の費用がかかります。2名必要なため、合計で12,000円~20,000円程度となります。
この費用は公証役場や地域によって若干の差がありますが、最も標準的な相場と考えてよいでしょう。
専門家に依頼する場合の費用詳細
専門家に依頼する場合の費用は、以下のようになっています。
単発での証人依頼
- 司法書士:7,000円~15,000円程度/1名
- 行政書士:7,000円~15,000円程度/1名
遺言書作成サービスとのセット料金
- 行政書士:5~10万円程度(証人費用込み)
- 司法書士:5~20万円程度(証人費用込み)
- 弁護士:20~30万円程度(証人費用込み)
セット料金の場合は、遺言書の起案から公証役場での手続き、証人の手配まで一括して対応してもらえるため、手間を省きたい方にはおすすめです。
知人・友人への謝礼相場
知人や友人に証人をお願いする場合でも、謝礼を渡すのが一般的です。金額としては、数千円~数万円程度を包むケースが多いようです。
ただし、謝礼の金額よりも、事前に欠格事由に該当しないかを確認し、守秘義務についてきちんと説明することの方が重要です。
費用を抑えるポイント
立会人にかかる費用を抑えたい場合は、以下の点を検討してみてください。
- 信頼できる知人で欠格事由に該当しない人がいれば、まずはその人に相談してみる
- 専門家に依頼する場合は、遺言書作成とセットになったプランを検討する
- 複数の専門家から見積もりを取って比較する
よくあるトラブルと注意点|失敗を避けるためのポイント

公正証書遺言の立会人選びでは、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。実際によくある失敗例と、それを避けるための注意点を詳しく解説します。
欠格事由の見落としによるトラブル
最も多いトラブルが、欠格事由の見落としです。特に複雑な家族関係の場合、誰が推定相続人に該当するかの判断を誤ってしまうケースがあります。
具体的な注意点
- 養子縁組の有無を確認する
- 前妻・前夫との間の子の存在を確認する
- 遺言で財産を受け取る予定の人(受遺者)とその家族を整理する
このような複雑なケースでは、専門家に相談することが安全です。
遺言者の判断能力に関するリスク
遺言者が認知症等の影響で判断能力が不十分な場合、公正証書遺言が無効とされる可能性があります。立会人は、遺言者の判断能力について後日証言を求められることもあるため、この点についても十分注意が必要です。
対策のポイント
- 遺言者の体調が良い日を選んで手続きを行う
- 事前に遺言内容について遺言者と十分話し合っておく
- 必要に応じて医師の診断書を取得する
親族間トラブルの発生
遺言内容によっては、親族間でのトラブルに発展する可能性があります。立会人が親族の場合、後日トラブルに巻き込まれるリスクもあります。
2024年の1年間に全国で作成された公正証書遺言は12万8,378件で、2023年と比べて約9,300件増加したというデータからも分かるように、遺言書の作成は年々増加しています。それに伴い、相続を巡るトラブルも増加傾向にあるため、慎重な準備が必要です。
守秘義務違反のリスク
立会人は遺言の内容を知ることになるため、その情報を適切に管理する責任があります。知人に依頼する場合は、守秘義務について事前にしっかりと説明し、理解してもらうことが大切です。
まとめ

公正証書遺言の立会人は、遺言の真正性を保証する重要な役割を担っています。立会人選びでは、まず欠格事由に該当しないかを慎重に確認することが最も重要です。
立会人の確保方法には、公証役場への紹介依頼、専門家への依頼、知人・友人への依頼の3つの選択肢があります。それぞれ費用や特徴が異なるため、自分の状況に合った方法を選択しましょう。確実性を重視するなら公証役場や専門家への依頼を、費用を抑えたいなら信頼できる知人への依頼を検討してみてください。
いずれの方法を選ぶ場合でも、事前の準備と確認を怠らないことが、トラブルを避けて確実な公正証書遺言を作成するための鍵となります。不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。


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