近年、日本の離婚件数は年間約20万件前後で推移しており、多くの夫婦が直面する問題の一つが「マイホームをどうするか」という課題です。
最近、夫婦で一緒に買ったマイホームを「共有名義」にしている家庭が増えています。しかし、離婚となると「家をどうするか?」が大きな問題になります。
「妻が家に住み続け、夫が出ていったけれど、名義はそのまま…」 「住宅ローンは夫が払い続けているのに、住むのは元妻…」こういった状況は珍しくありません。
しかし、この問題を放置しておくと、将来的に大きな金銭的・法的トラブルに発展する可能性があります。固定資産税の支払い、住宅ローンの返済、将来の売却時の合意形成など、様々な場面で衝突が起こり得るのです。
そこで今回は離婚時の共有名義をどのように対応すればいいのかについて解説していきます。これから離婚で共有名義の対応に困っている方にとって役立つ内容となっていますので、ぜひご参考ください。
共有持分は権利関係が複雑で、一般の不動産会社では扱うのが難しい案件が多いです。そのため、法律事務所と提携しており、共有持分専門の不動産会社に相談することが重要です。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。
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そもそも共有名義ってなに?

共有名義とは、家の所有権を2人以上で持っている状態のことです。この際、それぞれの所有者が持つ権利の割合を「持分」と呼びます。たとえば、夫と妻が50%ずつ持っていれば、それぞれが家の半分を所有しているということになります。
家を買ったときに、どちらかの名義だけではなく、2人の名前で登記した場合に「共有名義」となります。登記簿を見ると、誰がどれだけの割合を持っているかが書かれています。
ちなみに、住宅ローンを組んだ人が名義に入っていることが多く、ローンの支払いと名義の割合は必ずしも一致しないので注意が必要です。
住宅ローンが残っている場合は特に注意が必要です。名義人と返済義務者は必ずしも一致するわけではなく、共有名義でも住宅ローンの債務者が一方のみというケースも少なくありません。この「所有権」と「債務」のズレが、離婚後のトラブルの原因となることがあります。
離婚後に妻が住み続けるのはアリ?

共有物の場合、基本的にはそれぞれの持分に応じて使用する権利があります。そのため、離婚後も妻が持分を持っている限り、離婚後に妻がそのまま住み続けること自体は可能です。とくに子どもがいる場合、生活環境を変えたくないという理由で妻が住み続けることはよくあります。
しかし、問題は、そのままにしておくと、法律上もお金の面でもトラブルのもとになることです。
たとえば、ローンは夫が支払い続けているのに、住んでいるのは妻だけという場合、不公平感が出ます。また、家を売るときには共有名義なので、両方の同意が必要になります。つまり、どちらかが反対すれば売却はできません。
よくあるトラブルと実例

夫婦が離婚し、一方が住み続けるケースでは、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
ケース1 夫が出ていった後も妻が居住、ローンは夫名義で返済
Aさん夫婦の事例では、離婚後に妻と子どもが家に残り、夫が新居に移りました。住宅ローンは夫名義のままで、夫が支払い続けていましたが、3年後に夫が再婚を考え始めたところ、新たな住宅ローンが組めないことが判明。前妻に家の売却を申し出たところ、「子どもの学校の関係で引っ越せない」と拒否され、泥沼の争いになりました。
ケース2 売却しようとしたが、どちらかが反対して進まない
Bさん夫婦は離婚時に「家を売却して財産分与する」と口頭で合意しましたが、具体的な期限を決めていませんでした。離婚後、元夫が売却を急ぎたいと申し出たものの、元妻は「もう少し子どもが大きくなってから」と先延ばしにし続け、結局5年以上経っても売却できない状態が続いています。
ケース3 持分放棄したが名義変更しておらず税金トラブルに
Cさん夫婦は離婚時に「家は妻のものにする」と合意し、夫は口頭で持分を放棄。しかし正式な名義変更手続きをしなかったため、固定資産税の納税通知書は依然として夫にも送られてきました。数年後、未払いの税金が発生し、夫に督促状が届くという事態に発展しました。
トラブルを避ける3つの対処法

財産分与やローンの支払いについて書面で決める
離婚の際に「この家をどうするのか」「誰がローンを払うのか」「名義はどうするのか」をしっかり決めておくことが大事です。
- 誰が住み続けるのか
- 住宅ローンは誰がいくら負担するのか
- 固定資産税や修繕費はどう分担するのか
- 将来売却する場合の時期や条件
口約束ではなく、公正証書や離婚協議書として書面に残しておくことで、後々のトラブル防止や強制執行の可能性が広がります。
名義変更や売却を検討する
もし妻が住み続けるのであれば、夫の持分を妻に譲渡し、名義変更やローンの借り換えなど整理しておくのが理想です。
- 住み続ける側に名義を一本化する:居住者に持分を集中させ、ローンも借り換える
- 売却して現金化する:不動産を売却し、得られた利益を財産分与として分配する
- 持分を買い取る:住み続ける側が、出ていく側の持分を買い取る
現実的に難しい場合でも、将来的な売却や相続のことを考えておくべきです。
弁護士や不動産の専門家に相談する
共有名義の家をどうするかは、とてもデリケートな問題です。離婚問題に詳しい弁護士や、不動産取引に強い司法書士など、専門家のアドバイスを受けると安心です。
- 弁護士:離婚協議書の作成、財産分与の法的アドバイス
- 司法書士:名義変更など登記手続きの相談
- 不動産会社:売却を検討する場合の市場価値や売却可能性の評価
妻が住み続ける場合の注意点
妻がそのまま住み続ける場合、「ローンの名義は?」「持分の割合は?」「名義変更は?」など、整理しておかないと後で困ることになります。
とくに注意したいのは、再婚や相続のタイミング。たとえば妻が再婚した場合、今住んでいる家の名義や権利について、トラブルになることもあります。また、夫が亡くなったときに相続が発生し、共有者が増えるケースもあります。
経済的な責任の明確化
- ローン返済義務:誰がどのように返済するか明確にする
- 固定資産税:持分に応じた負担または新たな取り決めの必要性
- メンテナンス費用:大規模修繕が必要になった場合の費用分担
将来的なリスク
- 再婚時の問題:元配偶者の再婚相手や、自分の再婚相手との関係
- 相続発生時の問題:持分所有者が死亡した場合、その持分は相続人に引き継がれる
- 売却希望時の合意形成:一方が売却を希望しても、他方の同意がなければ実行できない
単独名義にできない場合の対応
住宅ローンの関係で単独名義に変更できない場合は、「使用貸借契約」や「賃貸借契約」など、法的な枠組みを利用して居住関係を整理することも検討すべきです。これにより、権利義務関係が明確になり、将来のトラブルを防止できます。
よくあるQ&A
Q1:離婚後も妻が共有名義の家に住んでいいの? → はい、住むことは可能です。ただし、持分やローン、税金の支払いなどを事前に決めておくことが重要です。
Q2:夫が持分を放棄すれば全て解決する? → 放棄だけでは不十分です。名義変更を行わなければ、税金や権利関係はそのまま残ります。
Q3:子どもがいるから妻が住み続けるのが当然? → 子どもの生活環境を守ることは大事ですが、法律上はきちんとした取り決めが必要です。
Q4:ローンを払っていなくても名義は残る? → はい。名義が残っていれば、法的には所有権も残るため、売却や税金の面で責任が生じます。
まとめ:後悔しないために今できること
離婚と家の問題は、感情的にも金銭的にもとても大きなテーマです。とくに共有名義の家は、名義・ローン・住み続ける権利など、整理すべき点がたくさんあります。以下のポイントを押さえて、トラブルを未然に防ぎましょう。
- 曖昧な状態を避ける:口頭の約束だけでなく、必ず書面化し、必要な手続きを完了させる
- 専門家に相談する:早い段階で弁護士や司法書士などの専門家のアドバイスを受ける
- 将来の変化を想定する:再婚、転職、相続など将来起こりうる変化も考慮した取り決めをする
一番大切なのは、将来のトラブルを防ぐために、「きちんと決めて、書面に残しておくこと」。そのうえで、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、冷静に対処していきましょう。
「共有名義×離婚」は複雑ですが、正しい知識と準備で後悔のない選択ができます。
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