「共有持分が競売にかけられる」というニュースは、多くの方にとって青天の霹靂かもしれません。不動産を共同で所有している状態で、自分以外の共有者の持分が競売にかけられると、思わぬトラブルに発展することがあります。
不動産の共有持分が競売にかけられると、第三者(多くの場合は不動産業者や投資家)が新たな共有者となり、あなたに持分の売却を迫ってくることがあります。交渉がうまくいかなければ、共有物分割請求訴訟を起こされ、最終的に不動産全体が売却されてしまうリスクもあるのです。
しかし、適切な知識と対処法を身につけておけば、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。
この記事では、共有持分の競売とは何か、どのような問題が起きるのか、そしてどう対処すべきかを初心者にもわかりやすく解説します。あなたの大切な財産を守るための知識を、ぜひ身につけてください。
共有持分の不動産を高く売るために一番重要なのは、複数の会社に相談することです。一つの会社だけだと、不動産の相場だけではなく、相性や強みもわかりません。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。
共有持分の買取でおすすめの不動産会社TOP5
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
対応業者 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
スピード | 最短30分 即日対応OK | 最短30分 即日対応OK | 当日・翌日 対応OK | 応相談 | 当日・翌日 対応OK |
対応地域 | 全国 ※一部非対応 | 関東/東海/関西/中国/九州 ※一部非対応 | 関東/関西 | 全国 | 全国 |
詳細 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
共有持分とは何か?初心者向け基礎知識
共有持分とは、一つの不動産を複数の人が所有している場合に、それぞれが持っている所有権の割合のことです。例えば、夫婦で家を購入し、登記簿上で「AとBがそれぞれ2分の1ずつ所有」となっていれば、AもBも2分の1の共有持分を持っていることになります。
不動産が共有名義になる理由はさまざまです。主なケースとしては:
- 相続によって複数の相続人が不動産を共同で相続した場合
- 夫婦で住宅を購入し、共有名義にした場合
- 親子や兄弟姉妹で資金を出し合って購入した場合
- 投資目的で複数人が共同で不動産を購入した場合
共有持分と単独所有の最大の違いは、不動産の使い方や処分に制限があることです。単独所有であれば、所有者の自由意思で不動産を売却したり、改築したりできますが、共有不動産の場合は基本的に共有者全員の同意が必要になります。この制限が、後々トラブルの原因になることも少なくありません。
共有持分が競売にかけられる主な原因

共有持分が競売にかけられる状況は、主に以下のようなケースで発生します。
住宅ローンの返済滞納
夫婦で住宅を購入し、それぞれが自分の持分に抵当権を設定して住宅ローンを組む「ペアローン」の場合、どちらか一方がローン返済を滞納すると、その人の持分だけが競売にかけられることがあります。例えば、夫だけが返済を滞納した場合、夫の持分(2分の1)のみが競売の対象になります。
共有者の自己破産
共有者の一人が自己破産すると、その人の財産(共有持分を含む)は換価されて債権者に分配されます。そのため、自己破産者の共有持分が競売にかけられることになります。
債務者への強制執行
共有者が別の借金の返済を滞納し、債権者から強制執行を申し立てられた場合も、債務者の持分が差し押さえられ、競売にかけられることがあります。
離婚や相続トラブル
離婚時に住宅ローンの支払いが滞る場合や、相続トラブルで財産分与がうまくいかない場合なども、共有持分が競売になるリスクが高まります。
共有持分が競売にかけられるとどうなる?

共有持分が競売にかけられると、以下のような流れで進んでいきます。
競売のスケジュールと流れ
- 裁判所から競売開始決定通知が届く
- 物件の評価(現地調査、評価書作成)
- 入札の公告
- 入札期間
- 開札
- 落札者の決定
- 売却許可決定
- 代金納付
- 所有権移転登記
この一連のプロセスは通常3〜6ヶ月程度かかります。
落札価格はいくらになる?
競売にかけられる共有持分の落札価格は、一般的に市場価格よりもかなり低くなります。多くの場合、以下のような計算になります。
- 不動産全体の市場価格 × 持分割合 = 共有持分の市場価格
- 共有持分の市場価格 × 0.5〜0.7 = 競売時の予想落札価格
例えば、市場価格4,000万円の不動産を夫婦で2分の1ずつ所有している場合、一方の持分の市場価格は2,000万円となります。これが競売にかけられると、落札価格は1,000万円〜1,400万円程度になることが予想されます。さらに、共有持分は単独所有の不動産よりも需要が低いため、実際にはさらに安くなることも珍しくありません。
競売後に起こりうるトラブル
競売で第三者(多くの場合は不動産業者や投資家)が持分を落札すると、あなたと第三者が共有関係になります。ここから様々なトラブルが発生する可能性があります。
第三者との共有関係
不動産業者や投資家は、落札した共有持分を活用して利益を得ようとします。そのため、次のような行動をとることが多いです。
- あなたの持分を買い取りたいと交渉してくる
- あなたに自分の持分を買い取るよう迫る
- 交渉がまとまらない場合、共有物分割請求訴訟を起こす
買取交渉と価格の問題
第三者は安く落札した持分をできるだけ高く売りたいと考えるため、あなたに対して市場価格よりも高い価格で持分を買い取るよう求めることがあります。一方、あなたの持分を買い取りたい場合は、できるだけ安い価格を提示してくることが予想されます。
共有物分割請求訴訟のリスク
交渉がまとまらない場合、第三者は「共有物分割請求訴訟」を起こすことがあります。民法256条では、「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」とされており、新たな共有者もこの権利を行使できます。
訴訟の結果、以下のいずれかになる可能性があります。
- 現物分割:不動産を物理的に分割する(ただし、建物や小さな土地では困難)
- 全面的価格賠償:一方が他方の持分を時価で買い取る
- 競売分割:不動産全体を競売にかけ、売却代金を持分割合に応じて分配
特に3番目の「競売分割」になると、不動産全体が失われ、市場価格よりも低い価格で売却されてしまう可能性が高いのです。
【緊急対策】競売開始前にできること

共有持分が競売にかけられそうな状況がわかっている場合、競売開始前にできる対策があります。
債権者との話し合い
まず、債権者(住宅ローンの貸主など)と話し合い、返済計画の見直しや猶予期間の設定などを交渉することで、競売を回避できないか検討しましょう。債権者側も、競売より任意での解決を望むケースが多いです。
任意売却の検討
住宅ローンの返済が困難な場合は、不動産を任意売却することで、競売よりも高値で売却できる可能性があります。任意売却とは、債権者の同意を得て、通常の不動産売買の形で売却する方法です。競売に比べて以下のメリットがあります。
- 競売より高値で売却できる(通常、市場価格の8〜9割)
- 売却後も住み続ける期間を交渉できる
- 引越し費用などの支援が受けられる場合がある
- 競売と違い、近隣住民に知られずに進められる
共有者からの持分買取
他の共有者の持分が競売にかけられそうな場合、資金に余裕があれば、その持分を事前に買い取ることも検討できます。競売前なら、共有者間の交渉で価格を決められるため、競売落札価格よりも有利な条件で買い取れる可能性があります。
ただし、あまりに市場価格より低すぎる価格で買い取ると、贈与とみなされて贈与税が発生することがあるので注意が必要です。また、債権者が「詐害行為取消権」を行使する可能性もあります。
期限と対応の優先順位
競売開始決定通知が届いてからでも、開札日の前日までであれば競売を取り下げてもらえる可能性があります。ただし、時間が経つほど難しくなるため、早めの対応が重要です。
優先順位としては
- 債権者との話し合い
- 任意売却か持分買取の検討
- 競売参加の準備
と進めていくのが基本的な流れです。
【対処法1】自分で競売に参加して落札する

もし他の共有者の持分が競売にかけられることになった場合、自分自身が競売に参加して落札するという選択肢もあります。
メリットとデメリット
【メリット】
- 自分の不動産を守ることができる
- 第三者との共有関係になるリスクを回避できる
- 競売価格は市場価格より安いことが多い
【デメリット】
- まとまった資金が必要
- 他の入札者がいると、予想以上に高くなる可能性がある
- 入札手続きが複雑
必要な準備と資金
競売で落札するには、保証金(最低売却価格の2割程度)を用意する必要があります。また、落札後に残額を納付するための資金も確保しておく必要があります。
例えば、他の共有者の持分の最低売却価格が800万円の場合、保証金として160万円程度、そして落札後に残りの640万円が必要になります。ローンを組む場合は、事前に金融機関に相談し、融資の可否を確認しておくことが重要です。
手続きの流れと注意点
- 物件情報を確認(BITや裁判所ウェブサイトで閲覧可能)
- 入札方法の確認(期間、場所、必要書類など)
- 保証金の準備
- 入札書類の作成・提出
- 開札結果の確認
- 落札した場合、期限内に残金を納付
- 所有権移転登記の確認
競売に参加する際は、事前に司法書士や弁護士に相談し、手続きを確実に進めることをおすすめします。
【対処法2】任意売却で競売を回避する
競売が始まる前に任意売却を検討することで、多くのデメリットを回避できます。
任意売却のメリット
任意売却には、以下のようなメリットがあります:
- 競売より高値で売却できる(一般的に市場価格の8〜9割程度)
- 引越し時期や条件を交渉できる
- 住宅ローンなどの債務の減額交渉ができる場合もある
- 近隣に知られずに進められる
- 売却後のローン残債を分割で返済できる可能性がある
競売との違い
任意売却と競売の主な違いは以下の通りです。
項目 | 任意売却 | 競売 |
---|---|---|
売却価格 | 市場価格の8〜9割 | 市場価格の5〜7割 |
売却期間 | 3〜6ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
住み続ける期間 | 交渉可能 | 引渡命令後約1ヶ月 |
手続きの主体 | 所有者 | 裁判所 |
近隣への影響 | 一般的な売買と同じ | 公告されるため知られやすい |
成功させるためのポイント
任意売却を成功させるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 早めに行動する:競売開始決定通知が来てからでも可能ですが、早いほど交渉の余地が広がります
- 専門家に相談する:任意売却に詳しい不動産会社や弁護士と連携する
- 正直に状況を伝える:債権者に対して財産や収入状況を正直に伝え、信頼関係を築く
- 複数の債権者がいる場合は全員の同意を得る:一部の債権者だけの同意では任意売却は進められません
任意売却は、債権者(銀行など)の同意が必要なため、交渉力が重要になります。専門家のサポートを受けることで成功率が大きく上がります。
【対処法3】専門業者に持分を売却する

他の共有者の持分が競売にかけられそうで、自分も不動産を手放したいと考えている場合は、専門の買取業者に自分の持分を売却するという選択肢もあります。
共有持分専門買取業者とは
共有持分専門の買取業者は、通常の不動産会社では買取が難しい共有持分を専門に買い取る業者です。こうした業者は、共有持分の価値評価のノウハウを持ち、他の共有者との交渉や法的手続きにも精通しています。
適正価格で売却するコツ
共有持分を適正価格で売却するためのコツは以下の通りです:
- 複数の業者から査定を取る:最低でも3社以上から査定を取り、相場を把握する
- 不動産の状態や権利関係を正確に伝える:後でトラブルにならないよう、事前に情報を開示する
- 売却理由を明確に伝える:急ぎの売却か、じっくり高値を狙うのかで条件が変わる
- 買取業者の実績や信頼性を確認する:過去の取引実績や口コミをチェック
信頼できる業者の選び方
信頼できる共有持分買取業者を選ぶポイントは
- 弁護士と連携している業者を選ぶ:共有持分の売買には法的な知識が必要なため
- 実績が豊富な業者を選ぶ:年間取引件数や過去の事例を確認
- 査定方法が明確な業者を選ぶ:どのように価格を算出したのか説明できる業者
- アフターフォローがしっかりしている業者を選ぶ:売却後のトラブル対応も重要
専門業者への売却は、一般の不動産市場では売却が難しい共有持分を現金化できる有効な手段です。特に、急ぎで資金が必要な場合や、他の共有者との関係修復が難しい場合に検討する価値があります。
すでに競売で第三者に落札されてしまった場合

もし他の共有者の持分がすでに第三者に落札されてしまった場合でも、対処法はあります。
新しい共有者との交渉術
新しい共有者(投資家や不動産業者)との交渉のポイントは
- 感情的にならず、冷静に対応する
- 相手の目的を理解する(多くの場合、利益を得ることが目的)
- 自分の希望(住み続けたいのか、売却したいのか)を明確にする
- 必要に応じて弁護士などの専門家を交えて交渉する
相手は利益を追求しているため、ビジネスライクな交渉が基本となります。
自分の持分を売却する場合の注意点
新しい共有者があなたの持分を買い取りたいと申し出てきた場合の注意点
- 提示された価格が適正かどうか第三者に確認する
- 売買契約書の内容をしっかり確認する
- 残債がある場合は、債権者の同意を得る
- 税金面の影響も考慮する(譲渡所得税など)
共有物分割請求訴訟への対応
交渉がまとまらず、共有物分割請求訴訟を起こされた場合の対応
- すぐに弁護士に相談する
- 全面的価格賠償(相手または自分が持分を買い取る方法)を主張する
- 現物分割が可能な場合は、その方法を検討する
- 裁判所の調停で和解できないか交渉する
共有物分割請求訴訟では、最終的に裁判所が分割方法を決定します。特に「全面的価格賠償」での解決を目指す場合は、専門家のサポートが不可欠です。
専門家に相談するべきタイミングと選び方

共有持分の競売問題は複雑なため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すべき場合
以下のような場合は、特に弁護士への相談が重要です。
- 共有物分割請求訴訟を起こされた場合
- 複数の債権者がいて交渉が複雑な場合
- 競売通知が届いた場合
- 任意売却の交渉がうまくいかない場合
不動産の専門家(司法書士、不動産会社)の役割
各専門家の役割は以下の通りです:
- 司法書士:登記関係の手続き、競売情報の調査
- 不動産会社(任意売却専門):任意売却の仲介、債権者との交渉
- 共有持分買取業者:共有持分の査定、買取
相談時に準備するべき資料
専門家に相談する際は、以下の資料を準備しておくと効率的です:
- 登記簿謄本(全部事項証明書)
- 不動産の権利証(または登記識別情報)
- 住宅ローンの残高証明書(ある場合)
- 競売開始決定通知書(届いている場合)
- 固定資産税評価証明書
- 共有者全員の連絡先
- これまでの経緯がわかるメモ
よくある質問(FAQ)

競売にかけられても自分の持分は失われない?
はい、他の共有者の持分が競売にかけられても、あなたの持分はそのまま残ります。ただし、新たな共有者との関係構築や、共有物分割請求への対応が必要になります。
共有物分割請求とは具体的に何をされるの?
共有物分割請求とは、共有状態の解消を求める法的手続きです。実際には裁判所に訴えを起こされ、現物分割、全面的価格賠償、競売分割のいずれかの方法で解決が図られます。特に競売分割になると、不動産全体が失われるリスクがあります。
競売の取り下げは可能?
はい、開札日の前日までであれば、債権者が競売を取り下げることは可能です。そのためには、債権者との交渉が必要です。通常、被担保債権(ローン残高)の全額または大部分を支払うことが条件となります。
落札価格はどのように決まる?
競売の落札価格は、最低売却価格(裁判所が定める)以上の価格で、最も高い金額を入札した人の価格になります。最低売却価格は通常、不動産鑑定士の評価額の8割程度に設定されますが、それでも市場価格よりは低いことが一般的です。共有持分の場合はさらに安くなる傾向があります。
まとめ
共有持分が競売にかけられる状況は、不動産を失うリスクや多大な経済的負担を伴います。しかし、適切な知識と対処法を身につけることで、リスクを最小限に抑えることができます。
共有持分の競売問題を解決するための基本的なステップは:
- 早期発見・早期対応:住宅ローンの滞納などの兆候があれば早めに行動する
- 専門家への相談:弁護士や不動産専門家のアドバイスを受ける
- 適切な対処法の選択:任意売却、持分買取、競売参加など状況に応じた対応を取る
また、競売を予防するための対策として、共有名義の不動産を所有する場合は、共有者間で利用や管理についての取り決めを書面で作成しておくことや、定期的に共有者間でコミュニケーションを取ることも重要です。
共有持分の競売問題は複雑で専門的な知識が必要ですが、この記事で解説した基本的な知識を押さえておけば、いざという時に冷静に対応することができるでしょう。不安な点があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。
今すぐ実行できる3つのアクション
- 登記簿を確認する: まずは法務局で不動産の登記簿謄本を取得し、現在の共有状態や抵当権の設定状況を確認しましょう。オンラインでも取得可能です。
- 共有者との話し合いの場を設ける: 定期的に共有者間で不動産の管理や将来の計画について話し合う機会を作りましょう。特に住宅ローンの返済状況などは共有しておくことが重要です。
- 共有持分の買取相場を調べておく: 万が一の事態に備えて、共有持分専門の買取業者に無料査定を依頼し、自分の持分がいくらで売却できるか把握しておきましょう。実際に売却する意思がなくても、市場価値を知っておくことは有益です。
コメント