【完全保存版】共有持分相続の落とし穴と具体的な対策法

不動産の相続でもっとも厄介なケースの一つが「共有持分」の相続です。親から一軒家を兄弟で相続したり、夫婦で購入した不動産の片方が亡くなったりしたとき、多くの人が「共有持分」という複雑な権利関係に直面します。共有持分を保有するケースで多いのは、不動産を複数人で購入するケースと、相続で不動産を複数人で共有したケースです。たとえば、夫婦でペアローンを借りて自宅を購入したり、1つの不動産を兄弟姉妹で相続したりするケースです。

「権利はあるけど自由に使えない」「相続人同士で意見が合わない」「固定資産税の支払いで揉める」など、共有持分を相続すると様々な問題が発生します。中には「共有者の一人が行方不明になった」というケースも少なくありません。

この記事では、共有持分相続で陥りやすい落とし穴と、それを回避するための具体的な対策法を、初心者にも分かりやすく解説します。共有持分の不動産を円満に相続し、必要に応じて売却するための知識を身につけていきましょう。

共有持分は権利関係が複雑で、一般の不動産会社では扱うのが難しい案件が多いです。そのため、法律事務所と提携しており、共有持分専門の不動産会社に相談することが重要です。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。

関連記事:共有持分の売却・買取が得意なおすすめの不動産会社まとめ!

共有持分の買取でおすすめの不動産会社TOP5

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目次

共有持分相続の基本知識

共有持分相続の基本知識

まずは共有持分相続の基本知識について解説します。

「共有持分」って何?わかりやすく解説

「共有持分」とは、ひとつの不動産を複数の人が共同で所有している状態のことです。

たとえば、3000万円の家を夫が2000万円、妻が1000万円出して購入した場合、夫の持分は3分の2、妻の持分は3分の1となります。共有持分とは、土地のこの場所から3分の2の部分がご主人、残り3分の1の部分が奥さん、という意味ではありません。物理的な割合を指すのではなく、不動産全体をそれぞれの持分割合で所有していますよ、という意味です。

大切なのは、共有持分は土地や建物を物理的に分割しているわけではないということです。全体のうち「何分の何」という権利の割合を示しています。

法律ではどう扱われているの?

共有持分は民法上、「共有」として規定されています。民法では、共有者それぞれが持分に応じて不動産全体を使用する権利を持つとされていますが、重要な変更を加えるには共有者全員の同意が必要です。

具体的には、次のような制限があります:

  • 不動産全体を売却するには、全員の同意が必要
  • 建物の取り壊しや大幅なリフォームには全員の同意が必要
  • 管理費用や固定資産税は持分に応じて負担する義務がある

普通の相続と何が違うの?

通常の相続では、相続人が単独で不動産の所有権を受け継ぎます。一方、共有持分の相続では、複数の相続人がそれぞれ一部の権利(持分)を相続することになります。

遺産相続により、相続人などで不動産を共有して引き継いだパターンでは、1人は取り壊しをして新たに賃貸アパートを建てて運用したいという意向、もう一人は思い入れがある家なのでリフォームをして暮らし続けたいという意向があるなど意見が分かれることがあります。

また、共有持分の相続は「権利関係が複雑になる」という大きな特徴があります。共有持分をそのまま相続し続けて共有者が増えると権利関係がどんどん複雑化し、後々の相続人に迷惑をかけるリスクが高まります。

例えば、最初は兄弟2人で共有していた不動産が、それぞれの相続で子どもたちに分かれていくと、数十年後には10人以上の共有者がいるということも珍しくありません。この状態では不動産の売却や活用がほぼ不可能になってしまいます。

共有持分相続でよくある7つの困った問題

共有持分相続でよくある7つの困った問題

困った問題①:相続人同士の意見が合わずケンカになる

共有持分の最大の問題点は、共有者間で意見が対立しやすいことです。不動産の分け方は一律でないため、相続人の間で意見の対立が起こりがちです。例えば、「実家を売却したい」と考える相続人と「思い出の家だから残したい」と考える相続人がいると、話し合いが平行線になりがちです。

こうした対立は、時に長年の確執や親子関係の問題が絡み、単なる不動産問題を超えた家族間の深刻な争いに発展することもあります。

困った問題②:「分けてください」と言っても簡単に分けられない

共有不動産は簡単に分割できません。「共有物分割請求」という裁判手続きを使えば強制的に分割することは可能ですが、時間と費用がかかります。

また、分割方法についても問題があります。物理的に分割できる土地ならまだしも、建物や小さな土地は分割が難しく、結局は「競売にかけて現金分配」という結果になりがちです。この場合、市場価格より安く売却されてしまうリスクがあります。

困った問題③:修理費や管理費の支払いでモメる

共有持分の不動産では、固定資産税や修繕費などの負担が問題になります。共有持分であっても、毎年固定資産税・都市計画税がかかります。使い道のない物件を持ったままにしていても、毎年維持費がかかってしまいます。

法律上は持分に応じて負担するのが原則ですが、実際には「現在住んでいる人が全額払うべき」「負担能力がないから払えない」など、様々な言い分が出てきます。こうした費用負担の問題は、長期間にわたって共有者間の関係を悪化させる原因になります。

困った問題④:相続人の一人と連絡が取れない場合どうする?

共有者の一人が行方不明になると、不動産の管理や処分が難しくなります。共有権利者の連絡先が分からなくなってしまっているパターンも、珍しいことではありません。共有不動産が非常に古く、一部の共有権利者と音信不通になっているケースもあります。

特に海外に住んでいる相続人や、疎遠になっている親族がいる場合は、連絡が取れなくなるリスクが高まります。この場合、不在者財産管理人という制度を使う必要がありますが、手続きは複雑で費用もかかります。

困った問題⑤:相続税の計算が複雑で損をしやすい

共有持分の相続では、相続税の計算も複雑になります。共有持分の相続の場合には、財産全部を承継する場合に比べて価格が低くなります。

ただし、共有状態によっては、「小規模宅地の特例」などの税制優遇が使えなくなる可能性もあるため注意が必要です。また、共有持分を売却する場合の譲渡所得税の計算も複雑で、専門家のアドバイスなしでは適切な判断が難しいでしょう。

困った問題⑥:持分を売ろうとしても簡単に売れない

自分の共有持分だけを売却しようとしても、買い手が見つかりにくいという問題があります。共有持分の不動産すべてを、共有権利者全員の合意なしに勝手に売却することはできません。

共有持分は一般の不動産市場では価値が低く評価されがちで、通常の売却価格よりもずっと安い価格でしか売れないことが多いです。また、他の共有者が優先して買い取る権利(優先購入権)の問題もあり、売却手続きが複雑になります。

困った問題⑦:登記の手続きが面倒すぎる

共有持分の相続登記は通常の相続登記より複雑です。通常の所有権移転の場合は、「(被相続人A)氏名 B」となりますが、この場合は持分の移転なので、「(被相続人A) 氏名 持分2分の1 B」と記載します。

専門的な知識が必要な上、共有者全員の協力が必要なケースもあるため、手続きが長引きがちです。また、相続登記を放置していると、次の世代の相続でさらに複雑になり、最終的には解決不能な状態に陥る可能性があります。

共有持分相続の具体的な解決法

共有持分相続の具体的な解決法

ここからは共有持分相続の具体的な解決法について解説します。

解決法①:遺言書を作っておくと安心!その方法

共有持分のトラブルを防ぐ最も効果的な方法は、被相続人が生前に遺言書を作成しておくことです。遺言書があれば、誰がどの財産を相続するか明確になり、相続人間の争いを防げます。

遺言書作成の方法は主に以下の3つがあります:

  1. 自筆証書遺言:自分で書く最も手軽な方法(法務局保管制度の利用がおすすめ)
  2. 公正証書遺言:公証役場で作る最も確実な方法
  3. 秘密証書遺言:内容を秘密にしたい場合の方法

特に共有持分に関しては、「特定の相続人に不動産を相続させる」「不動産を売却して現金で分配する」などの明確な指示を遺言に残すことが重要です。

解決法②:相続人で話し合いを上手に進めるコツ

遺言書がない場合は、相続人同士で遺産分割協議を行う必要があります。話し合いを円滑に進めるためのコツは以下の通りです:

  1. 早い段階で相続人全員が集まる機会を設ける
  2. それぞれの希望や事情を率直に話し合う
  3. 不動産の評価額を客観的に算定する(不動産鑑定士に依頼するのがベスト)
  4. 全員が納得できる分割方法を模索する
  5. 合意内容を「遺産分割協議書」として文書化する

事前に最低価格を設定しておけば、売却価格を巡る相続人同士の意見の食い違いを防ぎ、トラブルを回避する効果が期待できます。最低価格が明確であれば、売却益の分配についても相続人全員が納得しやすくなり、スムーズに手続きが進むでしょう。

解決法③:共有不動産を売却するための具体的な手順

共有不動産を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。具体的な手順は以下の通りです:

  1. 共有者全員の合意を得る
  2. 不動産会社に査定を依頼する(複数社がおすすめ)
  3. 売却価格と条件について共有者間で合意する
  4. 売買契約を締結する(共有者全員の署名・押印が必要)
  5. 持分に応じて売却代金を分配する

共有者の一部が売却に反対する場合は、調停や「共有物分割請求」の裁判を検討する必要があります。ただし、裁判は時間と費用がかかるため、可能な限り話し合いでの解決を目指しましょう。

解決法④:他の相続人に持分を買い取ってもらうための交渉方法

共有状態を解消する一つの方法は、相続人の一人が他の相続人の持分を買い取ることです。

相続人A、B、C、Dが一つの不動産を4分の1ずつの割合で共有している場合、そのうちBがAに持分を譲渡すれば、Aの持分が4分の2、CとDの持分が4分の1と、共有者を三人に減らせます。

持分買取の交渉のポイントは以下の通りです:

  1. 適正な買取価格を提示する(不動産鑑定士による評価がベスト)
  2. 資金計画を立てる(住宅ローンが使えるか確認する)
  3. 税金面のメリット・デメリットを考慮する
  4. 譲渡契約書をきちんと作成する
  5. 所有権移転登記を行う

持分買取は相続トラブルを根本的に解決できる方法ですが、資金面の問題がネックになることが多いです。

解決法⑤:行方不明の共有者がいる場合の対処法

共有者の一人が行方不明の場合、「不在者財産管理人選任」という手続きを利用します。手順は以下の通りです:

  1. 行方不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行う
  2. 裁判所が不在者財産管理人を選任する
  3. 不在者財産管理人が行方不明者の代わりに財産管理や売却手続きを行う

共有不動産の共有者の1人が死亡し、その人に相続人がいない場合は、家庭裁判所によって選任された相続財産管理人により、他の共有者が共有割合に応じて、亡くなった共有者の持分を取得することになります。

この手続きには弁護士や司法書士の助けが必要ですし、裁判所への予納金(30万円〜100万円程度)も必要になります。時間もかかる手続きですが、他に方法がない場合の対処法として知っておくとよいでしょう。

解決法⑥:相続税を少なくする具体的な方法

共有持分の相続税を抑える方法としては、以下のようなものがあります:

  1. 小規模宅地等の特例の活用を検討する
  2. 相続時精算課税制度を利用した生前贈与を行う
  3. 共有状態を解消して単独所有にする
  4. 家族信託を活用する

家族信託では、相続後に発生する「二次相続」についても事前に決めておくことが可能です。たとえば「被相続人の財産を子供Aが相続した後、子供Aが亡くなった場合は財産を孫Bが引き継ぐ」というように、孫の代まで相続人を指定できます。

ただし、相続税対策は個々の状況によって最適な方法が異なります。税理士など専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

共有持分不動産の売り方

共有持分不動産の売り方

共有持分を売るときの基本的な流れ

共有持分を売却する方法は大きく分けて2つあります。

  1. 共有者全員で不動産全体を売却する
  2. 自分の持分だけを単独で売却する

全員で売却する場合の基本的な流れは次の通りです。

  1. 共有者全員の合意を得る
  2. 不動産会社に査定・仲介を依頼する
  3. 買主が見つかったら売買契約を締結する(共有者全員の署名が必要)
  4. 所有権移転登記を行い、売却代金を持分に応じて分配する

自分の持分だけを売却する場合は、他の共有者に優先的に買取りの意思を確認した上で、買取専門業者への売却を検討します。ただし、持分だけの売却は市場価値が低くなりがちなので注意が必要です。

全部持っている場合と一部だけ持っている場合の違い

不動産の持分100%(全部)を所有している場合と、一部の持分だけを所有している場合では、売却の難易度や価格に大きな違いがあります。

持分100%の場合:

  • 通常の不動産と同様に売却できる
  • 一般的な市場価格で売却可能
  • 買い手が見つかりやすい

一部持分のみの場合:

  • 買い手が限られる(主に他の共有者か投資家)
  • 市場価格より大幅に安い価格になりがち
  • 売却手続きが複雑になる

特に持分が少ない場合(例:4分の1以下)は、一般市場での売却が極めて困難になります。

専門の買取業者に相談するメリット

共有持分の売却で悩んでいる場合、共有持分買取専門の不動産業者に相談するメリットがあります。ノウハウや実績のある業者との手続きになるため、トラブルが発生する可能性が低くなります。専門業者に依頼をすれば、共有持分を持ち続けることのデメリットを回避することができます。

専門業者のメリットは以下の通りです。

  1. 共有持分特有の法的問題に精通している
  2. 適正な査定ができる
  3. 他の共有者との交渉をサポートしてくれる
  4. スピーディーな買取が可能な場合が多い
  5. 相続登記などの手続きもサポートしてくれることが多い

ただし、業者選びは慎重に行う必要があります。複数の業者から査定を取り、実績や口コミも確認しましょう。

いくらで売れる?相場の目安

共有持分の売却価格は、一般的な不動産よりも低くなるのが普通です。目安としては以下のような要素で決まります。

  1. 不動産全体の市場価値
  2. 持分の割合(大きいほど有利)
  3. 他の共有者の状況(協力的かどうか)
  4. 不動産の種類(土地、建物、マンションなど)
  5. 立地条件

一般的に、共有持分は不動産全体の市場価値×持分割合の50〜80%程度の価格になることが多いです。ただし、共有者が多い場合や問題を抱えている物件では、さらに安くなる可能性があります。

実際に解決できた事例

実際に解決できた事例

事例①:兄弟4人で相続した家を上手に解決した方法

【事例】 父親が亡くなり、実家を兄弟4人(長男、次男、長女、次女)で相続することになりました。実家には長男が住んでおり、他の3人は別の場所に住んでいました。

【問題点】

  • 長男は実家に住み続けたい
  • 他の3人は現金で相続分が欲しい
  • 実家以外の遺産(預貯金)だけでは他の3人の相続分を満たせない

【解決策】

  1. 不動産の適正価格を不動産鑑定士に依頼して算出
  2. 長男が銀行から融資を受け、他の3人の持分を買い取る形にした
  3. 相続税の申告では「小規模宅地等の特例」を活用
  4. 遺産分割協議書をきちんと作成し、登記手続きも迅速に完了

【結果】 長男は住み慣れた実家に住み続けられ、他の3人も適正な対価を得られました。相続税も特例の活用で抑えることができ、全員が納得する形で解決しました。

事例②:共有者の一人が外国に住んでいて連絡が取れない場合の解決策

【事例】 祖父の遺産である土地を、父と叔父(父の弟)で共有していました。叔父は30年前に海外に移住し、連絡が取れなくなっていました。父が亡くなり、その持分を相続した後、土地全体を売却したいと考えていました。

【問題点】

  • 叔父の所在が不明で連絡が取れない
  • 共有物全体の売却には全員の同意が必要
  • 相続登記も複雑な状況になっていた

【解決策】

  1. 弁護士に相談し、不在者財産管理人選任の申立てを家庭裁判所に行った
  2. 裁判所が選任した財産管理人と売却について交渉
  3. 財産管理人の同意を得て土地全体を売却
  4. 叔父の取り分は供託所に供託

【結果】 手続きには約8ヶ月かかりましたが、最終的に土地を売却することができました。叔父の取り分は法的に適切に保管され、将来叔父や其の相続人が現れた場合にも対応できる状態になりました。

事例③:共有持分を売却して相続税の支払いを解決した例

【事例】 母親が亡くなり、都心の高額マンションを子ども3人で相続することになりました。相続税が高額で、現金での支払いが難しい状況でした。

【問題点】

  • 相続税の支払いのための現金が不足
  • マンションをそのまま共有すると管理や将来の売却で問題が発生する可能性
  • 3人とも住む予定がなく、賃貸に出す場合も意見が分かれる可能性

【解決策】

  1. 3人で話し合い、マンション全体を売却することに合意
  2. 複数の不動産会社から査定を取り、最も条件の良い会社に仲介を依頼
  3. 売却代金から相続税を支払い、残額を3人で分配
  4. 遺産分割協議書をきちんと作成し、登記手続きもスムーズに完了

【結果】 マンションを適正価格で売却でき、相続税の支払いも問題なく完了しました。将来的な共有トラブルも回避できた上、それぞれが自分の希望に沿った資金活用ができるようになりました。

専門家に相談するといいのはどんなとき?

専門家に相談するといいのはどんなとき?

どんな専門家に相談すればいい?それぞれの得意分野

共有持分の相続では、問題の内容に応じて適切な専門家に相談することが重要です。共有持分のトラブルに巻き込まれた場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士は、法的なトラブルを解決してくれます。費用はかかるものの、トラブルを防止するのに必要なことも教えてくれます。また、司法書士は共有持分の相続の際に相談しましょう。司法書士は相続の手続きのプロであり、遺産分割協議に必要な準備から遺産分割協議書の作成までおこなってくれます。

主な専門家と得意分野は以下の通りです:

  1. 弁護士:相続トラブルの解決、共有物分割請求、不在者財産管理人選任など法的手続き
  2. 司法書士:相続登記、遺産分割協議書の作成、所有権移転登記
  3. 税理士:相続税の申告、節税対策、不動産売却時の税金対策
  4. 不動産鑑定士:不動産の適正価格の算定
  5. 不動産仲介業者(宅地建物取引士):不動産の売却、市場価値の査定

問題が複合的な場合は、複数の専門家に相談するか、相続に強い総合事務所を探すとよいでしょう。

早めに相談するとどんないいことがある?

共有持分の相続問題は時間が経つほど複雑化する傾向があります。早めに専門家に相談するメリットは以下の通りです:

  1. トラブルが大きくなる前に解決できる
  2. 相続税の申告期限(10ヶ月以内)に余裕をもって対応できる
  3. 相続登記の義務化(2024年までに)に対応できる
  4. 共有者間の感情的対立が深まる前に解決策を見つけられる
  5. 選択肢が広がり、最適な解決方法を選べる

特に相続税の申告は期限が厳格なため、税理士への早めの相談が重要です。また、不動産の評価も相続開始時点で行うため、早めの対応が必要になります。

相談前に用意しておくと便利な書類リスト

専門家に相談する際、以下の書類を事前に用意しておくと、スムーズに話が進みます:

  1. 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 不動産の登記事項証明書(全部事項証明書)
  4. 固定資産税評価証明書
  5. 不動産の間取り図や測量図(あれば)
  6. 預貯金の残高証明書など他の遺産に関する資料
  7. 遺言書(ある場合)
  8. 過去の遺産分割協議書(過去の相続がある場合)

また、共有者全員の連絡先や、これまでの経緯を時系列でまとめておくと、問題の整理がしやすくなります。

よくある質問

よくある質問

ここからは共有持分の相続でよくある質問についてお答えします。

共有者の一人と連絡が取れません。どうすればいいですか?

共有者の一人と連絡が取れない場合、いくつかの対処法があります。まずは親族や知人を通じて連絡先を調べる努力をしましょう。それでも見つからない場合は、「不在者財産管理人選任申立て」という手続きを利用できます。行方不明者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が不在者財産管理人を選任します。その後、不在者財産管理人が行方不明者の代わりに財産管理や売却手続きを行うことができます。

この手続きには弁護士や司法書士のサポートが必要で、裁判所への予納金(30万円~100万円程度)も必要です。時間もかかりますが、他に解決策がない場合の有効な手段となります。

持分はどうやって値段が決まるの?

共有持分の価格は、一般的に「不動産全体の市場価値×持分割合」を基準に算出されますが、実際には様々な要素で調整されます。主な要素としては、持分の割合(大きいほど有利)、他の共有者との関係、不動産の種類や状態、立地条件などがあります。

市場では、共有持分は単独所有の不動産より低く評価されることが多く、通常は市場価値×持分割合の50~80%程度になります。特に共有者が多い場合や、問題を抱えている物件では、さらに価格が下がることもあります。適正な価格を知るには、共有持分取引に詳しい不動産業者や不動産鑑定士に査定を依頼するのがおすすめです。

売却にはどのくらい時間がかかりますか?

共有持分の売却にかかる時間は、状況によって大きく異なります。共有者全員の同意がスムーズに得られ、買主がすぐに見つかる理想的なケースでは、2~3ヶ月程度で完了することもあります。

しかし、現実には以下のような理由で時間がかかることが多いです:

  1. 共有者全員の同意を得るのに時間がかかる(数ヶ月~数年)
  2. 相続登記が未了の場合、その手続きに1~3ヶ月
  3. 行方不明の共有者がいる場合、不在者財産管理人選任に6ヶ月~1年
  4. 共有物分割請求の裁判が必要な場合は1~2年以上

専門家のサポートを早めに受けることで、手続きをスムーズに進めることができます。

相続登記はいつまでにしないといけないの?

2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に相続登記をしなければならなくなりました。相続登記の全体について詳しく知りたい方は『相続登記とは?亡くなった人の不動産の名義変更について法改正点も含め解説』をご覧ください。

期限を過ぎると10万円以下の過料(罰金)が課される可能性があります。また、登記を放置すると、将来の売却や活用が難しくなり、次の世代への相続でさらに複雑化するリスクがあります。特に共有持分の場合は権利関係が複雑になりやすいため、早めの登記手続きが重要です。

相続税はどうやって計算されるの?

相続税は以下の流れで計算されます:

  1. すべての相続財産の価値を合計する(不動産は相続税評価額で計算)
  2. 債務や葬式費用を差し引く
  3. 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引く
  4. 課税価格に税率(10%~55%の累進税率)をかける
  5. 各種特例や控除を適用する

共有持分の相続では、相続税の計算も複雑になります。共有持分の相続の場合には、財産全部を承継する場合に比べて価格が低くなります。そのため、相続税の節税対策として、あえて生前に共有関係にしておくケースもあるようです。ただし、共有の関係性によっては、小規模宅地の特例などの特例措置が適用されなくなる可能性もあります。

相続税の申告は専門的な知識が必要なため、税理士に相談することをお勧めします。相続開始から10ヶ月以内に申告・納税する必要があるので、早めの対応が重要です。

まとめ

共有持分の相続は複雑でトラブルが発生しやすい問題ですが、正しい知識と適切な対策があれば解決可能です。最も重要なのは、「共有状態を長期間放置しない」ということです。共有者が増えるほど問題は複雑化するため、できるだけ早く単独所有に戻すか、売却して現金化するのがおすすめです。

遺言書の作成、早めの相続登記、専門家への相談など、この記事で紹介した対策を参考に、共有持分相続の落とし穴を回避し、円満な解決を目指しましょう。不安な点があれば、弁護士、司法書士、税理士など、それぞれの分野の専門家に相談することが、最終的にはコストも時間も節約できる賢明な選択です。

共有持分は権利関係が複雑で、一般の不動産会社では扱うのが難しい案件が多いです。そのため、法律事務所と提携しており、共有持分専門の不動産会社に相談することが重要です。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。

関連記事:共有持分の売却・買取が得意なおすすめの不動産会社まとめ!

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