不動産を複数の人で共同所有する「共有持分」。相続や共同購入などで生じるこの権利関係は、思わぬトラブルの原因になることがあります。「共有者の一人が売却に反対している」「共有者と連絡が取れない」「維持費の負担で揉めている」など、多くの人が悩みを抱えています。
このような共有持分の問題は、法律知識が必要な複雑な案件が多く、自力解決が難しいケースがほとんどです。
本記事では、共有持分問題を抱えている方に向けて、なぜ弁護士に相談すべきなのか、そのメリットと具体的な解決事例を分かりやすく解説します。
共有持分の不動産を高く売るために一番重要なのは、複数の会社に相談することです。一つの会社だけだと、不動産の相場だけではなく、相性や強みもわかりません。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。
共有持分の買取でおすすめの不動産会社TOP5
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共有持分とは?初心者でもわかる基本知識

共有持分とは、一つの不動産(土地や建物)を複数の人が共同で所有している状態を指します。登記簿には所有者として複数の名前が記載され、それぞれが「持分」と呼ばれる所有割合を持っています。
例えば、兄弟で親の家を相続した場合、「長男:2分の1、次男:2分の1」というように記載されることがあります。また、夫婦で購入した場合は「夫:2分の1、妻:2分の1」というパターンも一般的です。
共有持分が発生する主な理由には次のようなものがあります:
- 相続によって複数人の所有になった
- 夫婦や親子で共同購入した
- 離婚時に財産分与として共有にした
- 投資目的で友人や知人と共同購入した
また、持分の割合に応じて共有物の管理費用(固定資産税や修繕費など)を負担する義務があります(民法第253条)。これについても、実際の負担割合を巡ってトラブルになることが少なくありません。
共有持分で頻発するトラブルの種類と実態

共有持分において、どのようなトラブルが発生しやすいのでしょうか。実際によく起こる問題をいくつか見てみましょう。
共有者間の意見対立による行き詰まり
不動産の売却や活用方法について共有者間で意見が分かれることは非常に多いです。例えば、相続した実家を「売却したい」と考える兄と「賃貸に出したい」と考える妹で対立するケースがあります。このとき、どちらも単独では決定できないため、話し合いが平行線をたどると物件が宙ぶらりんの状態になってしまいます。
実際の統計では、相続不動産の約40%が共有状態のまま放置されているというデータもあります。これは多くの場合、共有者間の合意形成ができないことが原因です。
維持費や固定資産税の負担問題
共有不動産には固定資産税や管理費、修繕費などの費用がかかります。本来はこれらを持分割合に応じて負担するのが原則ですが、実際には一部の共有者だけが支払っていることも少なくありません。
「自分だけが負担している」「一部の共有者が支払いを拒否している」といった不公平感が、さらなる対立を生み出すことになります。
共有者の行方不明や連絡不能の問題
相続などで共有関係になった場合、共有者が遠方に住んでいたり、疎遠になっていたりして連絡が取れないケースがあります。中には完全に行方不明になっている場合もあります。
この状態では売却はもちろん、リフォームや建て替えなどの判断もできず、不動産が有効活用できないまま劣化していくことになります。
共有者の一人による独断的な使用や処分
共有者の一人が他の共有者に無断で不動産に住んだり、賃貸に出したりするケースもあります。本来は共有者全員の合意が必要なのに、「自分の持分があるから」と勝手に使用されると、他の共有者は不利益を被ることになります。
最悪の場合、無断で持分を第三者に売却され、見知らぬ人と共有状態になってしまうこともあります。こうなると問題はさらに複雑化してしまいます。
自力解決を試みる際のリスクと限界

共有持分の問題を自分たちだけで解決しようとすると、様々なリスクや限界に直面します。その主なものを見ていきましょう。
法的知識不足による判断ミス
共有持分に関する法律は民法を中心に複雑な規定があります。専門知識がない状態で判断すると、自分の権利を十分に行使できなかったり、逆に法律違反となる行為をしてしまったりするリスクがあります。
例えば、「持分があれば自由に使える」と誤解して勝手に賃貸に出したり、「相続したのだから自分の物」と思って売却手続きを進めたりしてしまうと、後で大きなトラブルになります。
感情対立の激化と人間関係の悪化
共有者は家族や親族であることが多いため、話し合いが感情的になりやすい特徴があります。「実家への思い入れ」「過去の確執」「金銭感覚の違い」など、不動産以外の要素が絡んで複雑化します。
自力解決を試みる過程で対立が深まると、解決がさらに難しくなるだけでなく、家族関係に修復不能なダメージを与えることもあります。実際、遺産分割調停の約30%が不動産の共有問題に関するものだというデータもあります。
時間と労力の無駄
共有持分問題は自力解決を試みると、非常に長期化する傾向があります。必要な手続きや交渉の進め方が分からず、何度も行き詰まりを経験するためです。
「5年以上解決できていない」というケースは珍しくなく、その間にも固定資産税などの負担は続き、不動産の価値は下がっていきます。時間的・経済的な損失が大きくなってしまいます。
一時的な解決が長期的問題に発展するリスク
「とりあえず」の解決策が、後になって大きな問題を生むこともあります。例えば、「話し合いがまとまらないから、今は共有のままにしておこう」と先送りすると、相続が繰り返されて共有者が増え、さらに解決が難しくなるケースがあります。
実際、10人以上の共有者がいる「多数共有」の不動産では、解決までに数年かかることも珍しくありません。
共有持分問題を弁護士に相談すべき理由

共有持分の問題を効果的に解決するためには、弁護士への相談が大きな助けになります。その理由を詳しく見ていきましょう。
1. 専門的な法律知識による最適解の提案
弁護士は民法、不動産登記法、裁判実務など専門的な法律知識を持っています。共有持分問題には「共有物分割請求」「不在者財産管理人制度」「遺産分割協議」など様々な解決手段がありますが、どの方法が最適かは状況によって異なります。
弁護士は個々のケースを分析し、最も効果的かつ効率的な解決策を提案してくれます。不動産問題に詳しい弁護士であれば、過去の似たケースの解決例も多く知っているため、成功率の高い方法を選べます。
2. 客観的な第三者としての交渉力
共有者間の話し合いが感情的になりがちな中、弁護士は冷静な第三者として交渉を進めることができます。法的根拠に基づいた説明や提案は説得力があり、感情論ではなく合理的な解決に導きやすくなります。
また、「弁護士からの通知」には一定の威厳があり、それまで無反応だった共有者が態度を改めるケースも少なくありません。弁護士が間に入ることで、解決への道筋がつきやすくなるのです。
3. 裁判所との手続きに精通している強み
共有物分割請求や不在者財産管理人選任など、裁判所での手続きが必要になる場合、弁護士の存在は非常に心強いものになります。申立書の作成、証拠の収集、裁判所でのやり取りなど、素人では難しい手続きをスムーズに進めてくれます。
4. 共有物分割請求の適切な実施
共有状態を解消する強力な法的手段として「共有物分割請求」があります。これは共有者の一人が裁判所に共有関係の解消を求める手続きで、他の共有者の同意がなくても申し立てることができます(民法第256条)。共有者であれば持分の大小に関わらず誰でも請求可能な権利です。
しかし、この手続きは専門知識が必要で、適切な主張や証拠がなければ望ましい結果を得られません。弁護士は分割方法(現物分割、換価分割、価格賠償など)の選択から、裁判での主張立証まで一貫してサポートしてくれます。
特に裁判所が判断する分割方法の決定においては、不動産の性質や共有者の事情、従前の利用状況などが考慮されます。弁護士はこれらの要素を踏まえた主張を組み立て、依頼者にとって有利な結果につなげる役割を果たします。
5. 書類作成の正確性と法的効力の確保
共有持分問題の解決過程では、様々な合意書や契約書が必要になります。これらの書類は将来のトラブル防止のために、法的に有効な形で作成する必要があります。
弁護士は法的効力のある文書作成のプロフェッショナルです。抜け漏れのない合意内容や、将来発生しうる問題への対応策まで盛り込んだ書類を作成してくれます。自分たちで作った書類が「法的に無効」というリスクを避けられるのは大きなメリットです。
6. 将来のトラブル予防のための先見的アドバイス
弁護士は現在の問題解決だけでなく、将来発生しうるリスクも予測し、予防策を提案してくれます。例えば、「現在は問題なく共有を続けられているが、将来相続が発生したらどうなるか」といった長期的視点からのアドバイスは非常に価値があります。
不動産の共有状態を「今後どうするか」という将来計画も含めたトータルな解決策を考えられることは、弁護士に相談する大きなメリットと言えるでしょう。
7. 精神的負担の軽減とストレスフリーな解決
共有持分問題は長期間にわたり、当事者に大きな精神的ストレスを与えることがあります。「どうしたらいいかわからない」「相手が話し合いに応じない」といった状況は強い不安や焦りを生みます。
弁護士に依頼することで「専門家に任せている」という安心感が得られ、精神的な負担が大きく軽減されます。また、交渉や裁判といった負担の大きい作業を代行してもらえることで、日常生活や本業への影響を最小限に抑えられるというメリットもあります。
共有持分問題における弁護士相談の具体的なメリット

共有持分問題で弁護士に相談することの具体的なメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
解決までの時間短縮効果
弁護士に依頼すると、問題解決までの期間が大幅に短縮されることが多いです。専門知識と経験を持つ弁護士は、効率的なアプローチで問題解決を進めます。
例えば、共有物分割請求の場合、一般的に1年から1年半程度かかることが多いのですが、弁護士がサポートすることで手続きの遅延を防ぎ、できるだけ早期に解決に導いてくれます。また、裁判前の交渉で解決できれば、さらに時間を短縮できるケースもあります。
実際のデータでは、弁護士が代理人として関与した共有物分割請求は、当事者本人が進める場合と比べて約30%短い期間で解決することが報告されています。これは専門的知識による無駄のない手続きの進行と、効果的な和解交渉の結果です。
公平で合法的な解決による安心感
共有持分問題は、しばしば「どちらが正しいか」ではなく「どう折り合いをつけるか」という問題です。弁護士は法的根拠に基づいた公平な解決策を提案してくれます。
これにより、「自分だけが損をした」「不公平な解決だった」という後悔や不満を防ぐことができます。また、合法的な手続きで解決することで、将来的に問題が蒸し返されるリスクも減らせます。
感情的対立を避け、冷静な解決が可能に
家族や親族間の共有持分問題では感情的な対立が生じやすいものです。弁護士が間に入ることで、感情を抜きにした冷静な交渉が可能になります。
「言いたいことはあるが、直接言うと関係が悪化する」という場合も、弁護士を通じて伝えることで、感情的にならず主張を伝えられます。結果として、解決後も良好な人間関係を維持できる可能性が高まります。
経済的損失の回避と資産価値の保全
共有持分問題が長引くと、その間も固定資産税や管理費などの負担は続き、さらに不動産の価値は下がっていきます。弁護士に依頼することでこれらの経済的損失を最小限に抑えられます。
特に空き家となっている共有不動産は、放置すると劣化が進み、資産価値が大きく下がってしまいます。早期解決によって資産価値を保全し、場合によっては有効活用によって収益を得る可能性も広がります。
税金面のアドバイスも得られる可能性
共有不動産の売却や分割には、税金面での考慮も重要です。不動産に強い弁護士であれば、基本的な税金の知識も持っていることが多く、大まかな税金面のアドバイスも得られる可能性があります。
複雑なケースでは税理士との連携も視野に入れ、法的側面と税務的側面の両方から最適な解決策を検討してくれます。「売却のタイミング」「分割の方法」によって税負担が変わることもあり、これらを考慮した解決策は大きなメリットとなります。
共有持分問題に強い弁護士の選び方とポイント

共有持分問題で弁護士に相談する際は、どのような弁護士を選べばよいのでしょうか。効果的な解決のためのポイントを紹介します。
不動産問題・共有持分に詳しい弁護士を選ぶコツ
全ての弁護士が不動産問題に精通しているわけではありません。共有持分問題に強い弁護士を選ぶためには:
- 弁護士のウェブサイトで不動産問題や共有持分問題の解決実績をチェックする
- 「共有持分」「共有物分割」などの用語がサイト内で解説されているか確認する
- 相談前に共有持分問題の取扱い実績を直接質問する
などの方法が効果的です。特に共有物分割請求の実績がある弁護士は心強い味方になってくれるでしょう。
不動産問題に強い弁護士は、一般に扱った案件数が多いほど経験値が高く、様々なケースに対応できる可能性が高まります。「過去3年間で20件以上の共有持分問題を解決した」といった具体的な実績があれば、より安心できるでしょう。
相談前に準備すべき書類と確認事項
弁護士への相談をスムーズに進めるために、あらかじめ以下の書類や情報を準備しておくと効率的です:
- 不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
- 固定資産税評価証明書
- 共有者全員の連絡先情報
- これまでの共有者間のやり取りの記録や合意内容
- 相続が絡む場合は戸籍謄本や遺産分割協議書
特に登記簿謄本は共有状態の正確な把握に必須です。法務局で取得できますが、オンラインでも取得可能です(1通700円程度)。
弁護士費用の相場と支払い方法の理解
共有持分問題の弁護士費用は、解決方法や複雑さによって異なります。一般的な相場としては:
- 初回相談料:30分〜1時間で5,000円〜10,000円(無料の場合もあり)
- 示談交渉:20万円〜40万円程度
- 共有物分割請求訴訟:30万円〜60万円程度(着手金と成功報酬の合計)
- 不在者財産管理人選任申立:15万円〜25万円程度
多くの法律事務所では、着手金と成功報酬の二段階で費用を設定しています。例えば、不動産価格3,000万円の共有物分割請求の場合、着手金20万円+成功報酬30万円(成功報酬は解決額の約1〜3%)といった形式が一般的です。また、分割払いに対応している事務所も増えています。費用面で不安がある場合は、初回相談時に支払い条件について確認するとよいでしょう。
なお、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できる場合もあるので、収入が少ない方は確認してみるとよいでしょう。この制度を利用すると、弁護士費用の立替えや分割払いが可能になります。
相性の良い弁護士を見つけるポイント
弁護士との相性も重要な選択ポイントです。長期にわたって依頼することになるため、信頼関係を築ける弁護士を選びましょう。
- 説明がわかりやすく、質問に丁寧に答えてくれるか
- こちらの話をきちんと聞いて、状況を理解しようとしているか
- 強引な提案をせず、複数の選択肢を示してくれるか
- 連絡や報告がこまめにできそうか
などをチェックすると良いでしょう。初回相談の印象が重要なので、不安や疑問を感じたら別の弁護士も検討することをおすすめします。
弁護士による共有持分問題解決の具体的な事例

共有持分問題がどのように解決されるのか、具体的な事例を見てみましょう。
事例1:共有物分割請求による解決例
【ケース】 兄弟3人で相続した実家について、兄は売却希望、弟は賃貸希望、妹は自分が住みたいと主張して3年間話し合いがつかなかった。
【解決プロセス】 弁護士に相談した兄は、共有物分割請求訴訟を提起。弁護士は不動産の評価額を鑑定士に依頼して算出し、「換価分割(競売にかけて売却代金を分配)」か「妹が兄弟に対価を支払って取得する価格賠償」の2案を提示。
裁判所の調停で、最終的に妹が不動産を取得し、兄と弟にそれぞれ1/3ずつの対価を支払うことで合意。弁護士が細かい支払条件や引渡し条件を調整し、全員が納得する形で解決した。具体的には、妹が住宅ローンを組んで兄弟への支払資金を調達し、6ヶ月以内に全額支払うという条件で合意文書を作成。
【かかった期間と費用】 訴訟提起から解決まで約10ヶ月、弁護士費用は着手金20万円、成功報酬25万円の合計45万円(不動産評価額2,500万円のケース)。弁護士の交渉力により当初より50万円高い価格で合意できたため、実質的な弁護士費用負担は少なかった。
事例2:不在者財産管理人制度を活用した解決例
【ケース】 親から相続した土地を兄と妹で共有していたが、妹が20年以上前に海外移住し、連絡が取れなくなっていた。土地を売却したい兄は途方に暮れていた。
【解決プロセス】 弁護士に相談した兄は、裁判所に「不在者財産管理人選任」を申し立て。弁護士が申立書の作成や証拠の収集をサポート。裁判所は別の弁護士を不在者財産管理人に選任。
管理人は不在者(妹)の財産を管理する立場から、土地売却が妹の利益になると判断。裁判所の許可を得て売却に同意し、無事に土地を売却。売却代金のうち妹の取り分は法務局に供託された。
土地の所在地や状況に応じた詳細な資料(登記事項証明書、固定資産評価証明書、現況写真等)を弁護士が準備したことで、申立てから選任までの期間が通常より短縮された。また、売却先も弁護士のネットワークを通じて迅速に見つかった。
【かかった期間と費用】 申立てから売却完了まで約8ヶ月、弁護士費用は申立て手続き15万円、管理人報酬20万円、裁判所への予納金15万円、合計50万円。ただし、長年放置されていた土地が売却できたことで、固定資産税の負担からも解放され、結果的に経済的メリットは大きかった。
事例3:共有持分買取りによる解決例
【ケース】 離婚時に夫婦で購入した家を共有(各1/2)としたが、数年後に元妻が自分の持分を売却したいと申し出た。元夫は家に住み続けたいと考えていた。
【解決プロセス】 元妻が弁護士に相談。弁護士は不動産の適正価格を調査し、元夫に対して「持分の買取り」または「共有物分割請求による売却」の2つの選択肢を提示する通知を送付。
交渉の結果、元夫が元妻の持分を買い取ることで合意。弁護士は買取り価格や支払条件の交渉を行い、契約書を作成。住宅ローンの組み直しも含めた解決策を提案し、スムーズな所有権移転を実現した。
元妻の立場からは市場価格より若干低い価格でも、仲介手数料がかからず確実に売却できるメリットがあった。元夫の立場からは住み慣れた家に住み続けられるメリットがあり、双方にとって満足のいく解決となった。契約書には将来的なトラブル防止のため、引渡し条件や瑕疵担保責任の範囲なども明記された。
【かかった期間と費用】 相談から解決まで約4ヶ月、弁護士費用は着手金15万円、成功報酬として売買価格の3%(持分価格900万円の場合、27万円)、合計42万円。ただし、市場で売却する場合の仲介手数料(3%+6万円)と比較すると費用面でもメリットがあった。
共有持分問題解決のためのまとめと行動ステップ

共有持分問題は放置すればするほど解決が難しくなります。早い段階で専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
共有持分問題で弁護士に相談するタイミング
「今すぐ解決したい」という状況でなくても、以下のような兆候があれば、早めに弁護士に相談することをおすすめします:
- 共有者間で意見の対立が始まっている
- 一部の共有者と連絡が取れない状態が続いている
- 共有者の一人が独断で不動産を使用している
- 維持費や固定資産税の負担に不公平感がある
- 共有状態が長期間続き、解決の見通しが立たない
特に「相続により共有になった」ケースでは、次の相続が発生する前に解決しておくことが重要です。共有者が増えると、さらに解決が難しくなるためです。
弁護士相談から解決までの一般的な流れ
弁護士への相談から問題解決までの流れは、一般的に次のようになります:
- 初回相談:状況の説明と今後の方針の検討
- 弁護士への正式依頼:委任契約の締結と着手金の支払い
- 情報収集と状況分析:必要書類の収集と法的検討
- 解決策の提案と方針決定:話し合い、調停、訴訟など
- 具体的な解決手続きの実行:交渉や裁判手続きの進行
- 合意・判決の実行:売却、持分移転、分割などの実施
- 完了:代金精算や登記手続きの完了
解決までの期間は、手段によっても異なります。話し合いによる解決なら数ヶ月、共有物分割請求による解決なら1年前後が目安です。
今すぐできる3つの具体的アクション
共有持分問題の解決に向けて、今すぐ取り組める3つの行動を提案します。
- 登記簿謄本を取得して共有状態を正確に把握する:法務局やオンラインで登記簿謄本(全部事項証明書)を取得し、共有者と持分割合を確認しましょう。これにより現状を正確に把握でき、今後の方針検討の基礎となります。オンライン申請なら1通約600円(2024年5月現在)で取得可能です。法務局の登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/)を利用すると便利です。取得した謄本で、共有者全員の氏名と持分割合、抵当権などの権利関係を確認してください。
- 不動産問題に強い弁護士を複数リストアップして比較する:インターネットで「共有持分 弁護士」「共有物分割 弁護士」などで検索し、不動産問題に強い弁護士を3〜5名ピックアップしましょう。各弁護士のウェブサイトで実績や費用体系を比較し、相談したい弁護士を選びます。多くの弁護士事務所は初回相談を無料または低額(5,000円程度)で提供しています。弁護士会の法律相談センターを利用するのも一つの方法です。相談前に「共有持分問題の経験が豊富か」「具体的な解決事例はあるか」などを電話で確認しておくとよいでしょう。
- 共有者との話し合いの記録を整理し、解決の方向性を検討する:これまでの共有者間のやり取りを時系列でまとめ、合意事項や対立点を整理しましょう。メールやLINEなどの記録も保存しておくと、弁護士相談時に状況説明がスムーズになります。また、自分自身がどのような解決を望んでいるか(売却したいのか、買い取りたいのか、使用方法を決めたいのかなど)も明確にしておきましょう。可能であれば、共有不動産の現在の市場価値も不動産会社に査定してもらうとよいでしょう。無料の一括査定サービスを利用すれば、複数の不動産会社から簡単に査定を受けられます。
共有持分問題は複雑で解決が難しいケースが多いですが、専門家のサポートを受けることで効果的に解決できます。早め早めの対応で、トラブルの拡大を防ぎ、資産価値の目減りを防ぐことができるでしょう。
よくある質問(FAQ)

- 弁護士相談の費用はどのくらいかかりますか?
初回相談料は無料~1万円程度、本格的な解決に向けた着手金は15万円~30万円程度、成功報酬は解決額や方法によって変動します(一般的に不動産価値の3~5%程度)。多くの法律事務所では分割払いにも対応しています。まずは初回相談で費用体系について確認するとよいでしょう。
- 共有物分割請求にはどのくらいの期間がかかりますか?
一般的に申立てから解決まで1年~1年半程度かかることが多いです。ただし、当事者間の対立が激しい場合や、共有者が多数いる場合はさらに長期化することもあります。裁判の途中で和解が成立すれば早期解決の可能性もあります。弁護士のサポートにより手続きがスムーズに進むことで、期間短縮が期待できます。
- 弁護士に相談せず、自分たちで解決することは可能ですか?
理論上は可能ですが、共有者全員が協力的で、法的知識も十分ある場合に限られます。現実には共有者間の意見対立や感情的なもつれが生じやすく、自力解決は困難なケースが多いです。特に「一部の共有者が非協力的」「連絡が取れない共有者がいる」といった状況では、弁護士の介入がほぼ必須と言えるでしょう。放置すると問題が複雑化するリスクも考慮すべきです。
- 共有持分問題に詳しい弁護士の探し方は?
インターネットで「共有持分 弁護士」「共有物分割 弁護士」などで検索するのが効果的です。弁護士のウェブサイトで不動産問題や共有持分問題についての解説があるか、実績が記載されているか確認しましょう。弁護士紹介サービスや弁護士会の相談窓口を利用するのも一つの方法です。複数の弁護士に初回相談して比較するのがおすすめです。
- 弁護士に相談する前に準備しておくべきことは?
登記簿謄本(全部事項証明書)の取得、共有者全員の連絡先情報の整理、これまでのやり取りの記録、固定資産税評価証明書などの準備をしておくと相談がスムーズに進みます。また、自分自身がどのような解決を望んでいるか(売却したいのか、買取りたいのか、使用方法を決めたいのかなど)を明確にしておくことも重要です。初回相談では限られた時間内に状況を説明することになるので、ポイントを整理しておくと効率的です。
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