共有持分の買取請求で押さえるべき全知識!トラブル回避の対処法を徹底解説!

不動産を複数人で所有している状態は「共有」と呼ばれ、相続や共同購入などによって生じることがあります。この共有状態がトラブルの種になることも少なくありません。特に「共有持分の買取請求」は、多くの方が悩みを抱える問題です。

「共有者から突然買取請求を受けたけれど、どう対応すればいいの?」 「管理費を払わない共有者の持分を買い取りたいけれど、方法がわからない」 「共有持分買取業者からの連絡が来たけれど、信用していいの?」

このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?この記事では、共有持分の買取請求に関する基礎知識から実践的な対処法まで、初心者でもわかりやすく解説します。読み終えると、共有持分のトラブルに対して自信を持って対応できるようになるでしょう。

共有持分の不動産を高く売るために一番重要なのは、複数の会社に相談することです一つの会社だけだと、不動産の相場だけではなく、相性や強みもわかりません。以下の記事で共有持分が得意な不動産会社を厳選しましたのでご参考ください。

関連記事:共有持分の売却・買取が得意なおすすめの不動産会社まとめ!

共有持分の買取でおすすめの不動産会社TOP5

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目次

共有持分の基本知識

共有持分の基本知識

共有持分とは具体的に何か?

共有持分とは、一つの不動産(土地や建物)を複数の人が共同で所有している場合に、それぞれの人が持っている所有権の割合のことです。例えば、AさんとBさんが一つの土地を2分の1ずつ所有している場合、AさんもBさんも「2分の1の共有持分」を持っていることになります。

この共有持分は、不動産登記簿上に「持分2分の1」などと記載され、法律上の権利として認められています。注意したいのは、共有持分は単なる割合であり、実際の土地や建物を物理的に分けているわけではないという点です。つまり、「あなたはこの部分」「私はこの部分」という区切りは基本的にありません。

共有持分が発生する主な原因

共有持分が発生する最も一般的な原因は相続です。

例えば、親が所有していた不動産を子ども3人で相続すると、それぞれが3分の1ずつの共有持分を持つことになります。その他にも、夫婦や恋人同士、友人などで共同して不動産を購入するケース、投資目的で複数人が出資して不動産を購入するケースなどがあります。

実は、共有状態は将来的なトラブルの原因になりやすいものです。なぜなら、不動産の利用方法や売却の是非などについて、共有者全員の意見が一致しないことが多いからです。このような状況を避けるため、可能であれば相続時に遺産分割協議を行い、不動産は一人が相続するといった対策が望ましいでしょう。

共有持分の権利と制限

共有持分を持っている人(共有者)は、どのような権利を持ち、どのような制限を受けるのでしょうか?

まず、共有者ができることとして、自分の共有持分を自由に売却することができます。これは民法第206条(所有権の内容)と第250条(共有持分の性質)に基づくもので、共有持分は単独で売却可能な財産です。つまり、他の共有者の同意がなくても、自分の持分だけを第三者に売ることができるのです。

一方、共有者ができないこととして、共有物(不動産)全体に対する変更行為があります。民法第251条により、共有物に変更を加えるには他の共有者全員の同意が必要です。例えば、共有している土地に建物を建てる、共有している建物を取り壊す、共有不動産全体を売却するなどの行為は、単独ではできません。

また、共有不動産の日常的な管理行為(修繕など)については、共有持分の過半数の賛成があれば実行できます。例えば、AさんとBさんが2分の1ずつ持分を持っている場合、二人の意見が分かれると何も決められませんが、AさんとCさんとDさんが3分の1ずつ持分を持っている場合、AさんとCさんの賛成があれば(合計3分の2の賛成)、管理行為が可能です。

共有持分買取請求の基礎知識

共有持分買取請求の基礎知識

共有持分買取請求とは何か?

共有持分買取請求とは、ある共有者が他の共有者に対して、その共有持分を買い取らせることを請求する権利のことです。一般的に使われる「買取請求」という言葉には2つの意味があります。

1つ目は、民法第253条に基づく法的強制力のある請求です。この場合、特定の条件を満たせば、相手の意思に関わらず共有持分を買い取ることができます。

2つ目は、単に他の共有者に「持分を買い取ってほしい」とお願いする行為です。こちらには法的強制力はなく、相手が同意しなければ実現しません。

この2つを混同すると、トラブルの原因になることがあるので注意が必要です。

民法上の根拠と法的性質

共有持分買取請求権は、民法第253条に基づいています。この条文は、以下の要件を満たす場合に、共有者に買取請求権を認めています。

  1. ある共有者が、他の共有者の負担すべき管理費用を立て替えていること
  2. その立て替えた費用について請求をしたにもかかわらず、1年以上支払われていないこと

この条件を満たす場合、管理費用を立て替えた共有者は、支払いをしない共有者に対して、その持分を自分に売るよう請求できます。この請求には法的強制力があり、正当な理由なく拒否することはできません。

買取請求権と分割請求権の違い

共有持分に関連する権利として、「買取請求権」と「分割請求権」がありますが、これらは別の権利です。

買取請求権は前述のとおり、管理費用の立替えなどの条件を満たす場合に行使できる権利です。一方、分割請求権は民法第256条に基づき、共有関係そのものを解消するために、どの共有者でも行使できる権利です。

分割請求権を行使すると、共有物を物理的に分割したり(現物分割)、競売にかけて得た代金を分配したり(換価分割)、他の共有者が請求者の持分を買い取ったり(価格賠償)する形で、共有関係が解消されます。

買取請求権は特定の条件下で特定の共有者だけが行使できる権利ですが、分割請求権はどの共有者でも行使できる権利であり、より一般的に使われます。

法改正の最新情報(令和5年4月改正のポイント)

令和5年(2023年)4月に施行された民法改正では、共有不動産に関するルールが大きく変更されました。特に重要なポイントをいくつか紹介します。

まず、共有物の管理に関するルールが変更され、「共有物の管理」と「変更行為」の区別がより明確になりました。また、共有者の一部が不明な場合でも共有物の管理ができるよう、裁判所の決定により管理者を選任する制度が新設されました。

さらに、共有関係の解消を促進するため、共有者の一部が所在不明の場合でも、他の共有者がその持分を取得できる制度が整備されました。この改正により、所有者不明土地問題の解決が進むことが期待されています。

共有持分の買取請求に関しても、手続きがより明確になり、立替金の未払いが1年を超えた場合の買取請求権の行使が容易になりました。

買取請求ができる条件と手続き

買取請求ができる条件と手続き

買取請求を行使できる条件

共有持分の買取請求権を行使するには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 他の共有者の負担すべき管理費用(修繕費、固定資産税など)を立て替えていること
  2. その立て替えた費用について請求をしたにもかかわらず、1年以上支払われていないこと

例えば、AさんとBさんが土地を共有しており、Bさんが固定資産税の支払いを怠っているため、Aさんがその分も支払っている場合を考えましょう。Aさんは、Bさんに支払いを請求し、それから1年以上支払いがなければ、Bさんの持分を買い取る請求をすることができます。

ただし、ここで重要なのは「立替え」と「請求」の事実を証明できることです。後のトラブルを避けるためにも、立替えの記録や請求を行った証拠(内容証明郵便の控えなど)を保管しておくことが大切です。

買取請求の具体的な手続きの流れ

実際に買取請求を行う場合、以下のような流れで進めます。

  1. 立替金の請求 まず、立て替えた管理費用について、他の共有者に請求します。この際、内容証明郵便を使うと、いつ、どのような内容の請求をしたかが証明できるので便利です。請求書には、立替金の金額、内訳、支払期限などを明記しましょう。
  2. 1年間の経過を待つ 請求してから1年間、支払いがないことを確認します。この間、一部でも支払いがあると、条件を満たさなくなる可能性があるので注意が必要です。
  3. 買取請求の通知 1年経過後、買取請求を行います。これも内容証明郵便で通知するのが一般的です。通知には、買取請求を行う法的根拠(民法第253条)、買取を希望する持分、希望する買取価格などを記載します。
  4. 買取価格の交渉 相手が買取請求に応じた場合、買取価格の交渉を行います。価格について合意できない場合は、不動産鑑定士に評価を依頼することも検討できます。なお、買取価格は通常、不動産全体の時価に持分割合を乗じた金額が基準となります。
  5. 売買契約と登記手続き 価格に合意したら、共有持分の売買契約を締結し、所有権移転登記を行います。この際、司法書士に依頼すると安心です。

もし相手が買取請求に応じない場合は、裁判所に「所有権移転登記手続請求訴訟」を提起する必要があります。裁判所で請求が認められれば、判決に基づいて登記を行うことができます。

買取請求を受けた場合の対応

買取請求を受けた場合の対応

買取請求を受けたときの状況判断

突然、他の共有者から「持分を買い取る」という通知や連絡が来た場合、まずはそれが法的強制力のある請求なのか、単なるお願いなのかを判断することが大切です。

法的強制力のある買取請求(民法第253条に基づくもの)かどうかは、以下のポイントで判断できます。

  • 内容証明郵便や弁護士名での通知である
  • 「民法第253条に基づく」といった記載がある
  • 立替金の詳細(金額、時期、内容)が記載されている
  • 立替金の請求から1年以上経過している証拠がある

これらの条件を満たさない場合は、法的強制力のない単なるお願いである可能性が高いです。その場合は、自分の意思で応じるかどうかを決めることができます。

請求を受けた後の選択肢

法的強制力のある買取請求を受けた場合の選択肢としては、以下のようなものがあります。

  1. 買取請求に応じる 請求が法的要件を満たしている場合、最終的には応じざるを得ません。この場合、適正な価格で取引ができるよう交渉することが重要です。不動産鑑定士や弁護士に相談するのも一つの方法です。
  2. 立替金を支払う 買取請求の原因となっている立替金を支払えば、買取請求の根拠がなくなります。支払余力があり、共有状態を維持したい場合は、この選択肢を検討しましょう。
  3. 異議を申し立てる 立替金の事実がない、請求から1年経過していないなど、法的要件を満たしていないと考えられる場合は、異議を申し立てることができます。この場合も、証拠を集めて弁護士に相談することをお勧めします。

一方、法的強制力のないお願いの場合は、以下のような選択肢があります。

  1. 買取りに応じる 共有関係を解消したいと考えていた場合や、提示された価格が魅力的であれば、応じることも検討できます。
  2. 断る 無理に応じる必要はありません。ただし、断ることで共有者間の関係が悪化する可能性もあるので、丁寧な対応が望ましいでしょう。
  3. 条件交渉をする 買取自体には前向きだが、価格や条件に納得できない場合は、交渉を試みることもできます。

どの選択肢を取るにしても、冷静に状況を判断し、必要に応じて専門家(弁護士、司法書士、不動産鑑定士など)に相談することが大切です。

共有持分買取業者の利用とリスク

共有持分買取業者の利用とリスク

買取業者の活用メリット

共有持分を売却したい場合、一般の不動産市場では買い手を見つけるのが難しいことが多いです。そこで役立つのが、共有持分専門の買取業者です。

買取業者を利用するメリットとしては、以下のようなものがあります。

  1. スピーディーな解決 一般の売却と比べて短期間(最短数日)で売却が完了する場合があります。通常の不動産取引では数ヶ月かかることを考えると、大きな違いです。
  2. 確実な現金化 買い手が見つかるかどうか不透明な一般の売却と異なり、買取業者の場合は確実に現金化できます。資金需要が急な場合に特に有用です。
  3. 手続きの簡略化 売却に関する手続きを業者が代行してくれることが多く、手間が省けます。特に、共有不動産の売却は通常より複雑な手続きが必要な場合が多いので、この点は大きなメリットです。
  4. 共有者間のトラブル解決 共有者間でトラブルがあり、関係が悪化している場合でも、業者が間に入ることで解決の糸口が見つかることがあります。特に、弁護士と連携している買取業者であれば、法的な観点からのアドバイスも期待できます。

買取業者利用のリスクと注意点

一方で、買取業者の利用には以下のようなリスクや注意点もあります。

  1. 買取価格が低くなる傾向 一般的に、買取業者の提示価格は市場価格の50〜70%程度と言われています。共有持分の場合はさらに低くなることも多く、市場価格の30%以下になるケースもあります。これは、共有持分には権利制限があり、業者側もリスクを負うためです。
  2. 他の共有者とのトラブル発生の可能性 共有持分を買取業者に売却すると、他の共有者は突然、見知らぬ業者と共有関係になります。これにより、共有者間のトラブルが発生したり、関係が悪化したりすることがあります。
  3. 業者からの強引な営業 悪質な業者の場合、あなたの持分を買い取った後、他の共有者に対して強引な営業をかけることがあります。これにより、あなたと他の共有者との関係が悪化するリスクがあります。
  4. 共有物分割請求のリスク 買取業者は最終的に不動産全体の所有権を得ることを目的としていることが多いです。そのため、あなたの持分を買い取った後、他の共有者に対して共有物分割請求訴訟を起こす可能性があります。これにより、他の共有者が不利な条件での売却や分割を強いられることがあります。

信頼できる買取業者の選び方

買取業者を利用する場合は、以下のポイントを確認して信頼できる業者を選ぶことが重要です。

  1. 実績と評判 共有持分の買取実績が豊富で、口コミや評判が良い業者を選びましょう。会社のウェブサイトや口コミサイトで情報収集できます。
  2. 法的サポート体制 弁護士や司法書士と連携している業者は、法的なトラブルが生じた際のサポートが期待できます。特に、共有持分は法的な問題が絡むことが多いので、この点は重要です。
  3. 対応の誠実さ 初回の問い合わせから査定までの対応が丁寧で誠実かどうかをチェックしましょう。質問に対して具体的で分かりやすい回答をしてくれるかも重要なポイントです。
  4. 買取条件の透明性 査定金額の根拠や買取条件を明確に説明してくれるかどうかも大切です。あいまいな説明や急かすような対応をする業者は避けるべきでしょう。
  5. 複数社の比較 一社だけでなく、複数の買取業者に査定を依頼して比較することをお勧めします。買取価格は業者によって大きく異なることがあります。最低でも3社程度に査定を依頼するとよいでしょう。

共有持分トラブルの事例と解決策

共有持分トラブルの事例と解決策

よくある共有持分トラブルの具体例

共有持分に関連するトラブルは多種多様ですが、特に頻繁に見られるのは以下のようなケースです。

  1. 管理費負担のトラブル 共有者の一人が固定資産税や修繕費などの支払いを怠り、他の共有者が肩代わりすることになるケースです。このようなトラブルは、買取請求権行使の原因にもなります。
  2. 利用方法の意見不一致 共有不動産の使い方について共有者間で意見が食い違うケースです。例えば、「賃貸に出したい」「売却したい」「自分が住みたい」などの意見対立が起きることがあります。
  3. 第三者への売却による混乱 共有者の一人が自分の持分を第三者(特に買取業者)に売却し、残りの共有者が困惑するケースです。突然見知らぬ人と共有関係になることで、不安やトラブルが生じます。
  4. 相続発生時の混乱 共有者の一人が亡くなり、その持分が相続人に分散して共有者が増えるケースです。共有者が増えるほど意思決定が難しくなり、トラブルの可能性も高まります。
  5. 共有物分割請求による対立 共有者の一人が共有物分割請求を行い、不動産の売却や分割を迫られるケースです。特に、現物分割が難しい場合は競売になることもあり、不利な条件での売却を強いられることがあります。

それぞれの解決策とポイント

これらのトラブルに対する解決策としては、以下のようなものが考えられます。

  1. 管理費負担のトラブル
    • 共有者間で書面による管理費負担の取り決めを作成する
    • 定期的に収支報告を行い、透明性を確保する
    • 管理費の滞納が続く場合は、買取請求権の行使を検討する
  2. 利用方法の意見不一致
    • 共有者全員による話し合いの場を設け、お互いの希望や事情を共有する
    • 第三者(弁護士など)を交えた調停を検討する
    • 合意が難しい場合は、共有関係の解消(全体売却や持分売却)を検討する
  3. 第三者への売却による混乱
    • 共有者間で「持分を売却する際は他の共有者に優先的に打診する」といった取り決めを事前に作成する
    • 第三者と共有関係になった場合は、まずは話し合いの場を設ける
    • 問題が解決しない場合は、第三者の持分を買い取るか、自分の持分を売却することを検討する
  4. 相続発生時の混乱
    • 生前に遺言書を作成し、共有持分の相続先を明確にしておく
    • 相続発生後は、遺産分割協議で共有状態を解消することを検討する
    • 共有者が多数になる場合は、代表者を決めて意思決定をスムーズにする工夫をする
  5. 共有物分割請求による対立
    • 共有物分割請求を受けた場合は、まずは話し合いで解決策を探る
    • 話し合いがまとまらない場合は、調停や訴訟に備えて専門家に相談する
    • 訴訟となった場合は、不利な条件での売却を避けるため、自主的な解決策を提案する

これらの解決策に共通するのは、「早めの対応」と「専門家への相談」の重要性です。トラブルが深刻化する前に対処することで、解決の可能性が高まります。

トラブルを避けるための予防策

トラブルを避けるための予防策

共有状態を解消する方法

共有持分に関するトラブルを根本的に解決するには、共有状態そのものを解消することが最も効果的です。主な方法としては以下のようなものがあります。

  1. 全員合意での売却 共有者全員の合意を得て不動産全体を売却し、売却代金を持分割合に応じて分配する方法です。不動産会社に仲介を依頼すれば、市場価格での売却が期待できます。ただし、全員の合意が必要なため、意見が分かれると実現が難しくなります。
  2. 共有物分割(現物分割) 物理的に分割可能な不動産(主に土地)の場合、分筆して各共有者が単独所有する方法です。例えば、300㎡の土地を3人で共有している場合、100㎡ずつに分けて各自が単独所有します。ただし、建物がある場合や狭小地の場合は難しいことが多いです。
  3. 他の共有者への持分譲渡 自分の持分を他の共有者に売却または贈与する方法です。例えば、兄弟3人で共有している不動産を、1人の兄弟が残り2人の持分を買い取って単独所有にします。共有者間の信頼関係があり、資金的な余裕があれば、最もスムーズな解決方法です。
  4. 共有持分の買取業者の利用 自分の持分を買取業者に売却する方法です。前述のとおり、価格は市場価格より低くなる傾向がありますが、スピーディーに解決できるメリットがあります。ただし、他の共有者とのトラブルが発生する可能性もあるので注意が必要です。
  5. 共有物分割請求訴訟 話し合いでの解決が難しい場合の最終手段として、裁判所に共有物分割を請求する方法です。裁判所の判断により、現物分割、換価分割(競売にかけて代金分配)、価格賠償(ある共有者が他の共有者の持分を買い取る)のいずれかの方法で共有関係が解消されます。ただし、時間とコストがかかる点に注意が必要です。

事前に取り決めておくべきこと

共有状態になる場合や、すでに共有状態にある場合、以下のような事項を事前に取り決めておくことで、トラブルを予防できます。

  1. 共有者間での合意書作成 共有不動産の利用方法、管理方法、費用負担、将来の売却条件などを書面で明確にしておきましょう。口頭での約束は後で「言った・言わない」のトラブルになることがあります。
  2. 管理費用の負担方法の明確化 固定資産税、修繕費、保険料などの費用をどのように負担するかを明確にしておきましょう。持分割合に応じた負担が一般的ですが、利用状況に応じて変えることもあります。
  3. 意思決定の方法の取り決め 修繕や改修などの判断をどのように行うかのルールを決めておきましょう。例えば、「〇万円以上の修繕は全員の合意が必要」といった具体的な基準があると役立ちます。
  4. 持分売却時のルール設定 持分を売却する場合は、まず他の共有者に打診することを義務付けるなどのルールを設けておくと良いでしょう。これにより、見知らぬ第三者との共有関係になるリスクを減らせます。
  5. 将来的な共有関係解消の方針 「〇年後に売却する」「子どもが成人したら売却を検討する」など、将来的な方針を共有しておくことで、急な変更による混乱を防げます。

これらの取り決めは、可能であれば弁護士や司法書士など専門家のアドバイスを受けながら作成すると安心です。特に、家族間であっても書面化することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

まとめ

共有持分の買取請求は、法的根拠に基づく強制力のある請求と、単なるお願いとしての請求の2種類があります。立替金の未払いなどの条件を満たせば、民法第253条に基づく買取請求権を行使できますが、その場合も適切な手続きを踏むことが重要です。

また、共有持分を売却したい場合や買取請求を受けた場合は、状況を冷静に判断し、必要に応じて専門家(弁護士、司法書士、不動産鑑定士など)に相談することをお勧めします。共有持分買取業者の利用はスピーディーな解決につながる一方で、買取価格の低さやトラブル発生リスクなどのデメリットもあるため、慎重な判断が必要です。

共有持分のトラブルを根本的に解決するには、共有状態そのものを解消することが最も効果的です。全員合意での売却、現物分割、持分譲渡など、状況に応じた方法を検討しましょう。また、共有状態になる前や、なった直後に、共有者間での合意書作成や管理費用の負担方法の明確化などの予防策を講じることで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

専門家に相談するメリットと相談先の選び方

共有持分のトラブルは法律的な知識が必要なケースが多く、専門家に相談することで適切な解決策を見つけられることがあります。専門家に相談するメリットとしては以下のようなものがあります。

  1. 法的な知識に基づくアドバイスが得られる
  2. トラブル解決の具体的な道筋が見えてくる
  3. 交渉や手続きを代行してもらえる場合がある
  4. 第三者の立場から冷静な判断を示してもらえる
  5. 裁判になった場合の見通しを立てられる

相談先としては、以下のような専門家が考えられます。

  • 弁護士:法律全般の知識を持ち、交渉や訴訟の代理人になれる
  • 司法書士:登記手続きに詳しく、簡易的な法律相談も可能
  • 不動産鑑定士:適正な不動産価格の算定に詳しい
  • 税理士:共有持分の売買に伴う税金の相談ができる
  • 共有持分専門の買取業者:買取だけでなく、トラブル解決のノウハウも持っている場合がある

専門家を選ぶ際は、共有持分に関する実績や経験があるかどうかを確認すると良いでしょう。また、初回相談が無料の専門家も多いので、複数の専門家に相談して比較検討することもおすすめです。

最後に読者へのアドバイス

共有持分のトラブルは、放置すればするほど解決が難しくなります。少しでも問題が発生していたり、不安を感じたりしている場合は、早めに対処することが大切です。

また、共有持分のトラブルは感情的になりがちですが、できるだけ冷静に対応することが解決への近道です。共有者同士が話し合いの姿勢を持ち、お互いの状況や希望を理解し合うことで、円満な解決につながることも少なくありません。

最後に、共有持分の問題は一人で抱え込まずに、専門家に相談することをお勧めします。専門家の適切なアドバイスにより、思いもよらなかった解決策が見つかることもあります。

よくある質問(FAQ)

ここでは共有持分の買取請求でよくある質問についてお答えします。

共有持分はどうやって売却できるの?

共有持分は原則として自由に売却できます。他の共有者に売却する場合は直接交渉し、第三者に売却する場合は不動産会社に仲介を依頼するか、共有持分専門の買取業者に買い取ってもらう方法があります。ただし、一般の不動産市場では共有持分の需要は低く、買い手を見つけるのは困難なことが多いです。

買取請求に強制力はあるの?

民法第253条に基づく買取請求(管理費の立替金が1年以上支払われない場合など)には法的強制力があります。一方、単に「持分を買い取ってほしい」というお願いには強制力はなく、相手の同意がなければ実現しません。

共有状態の不動産は活用できないの?

共有状態でも活用は可能ですが、使用方法の変更には共有者全員の同意が必要など、制限があります。例えば、賃貸に出す、建物を建てるといった行為は単独ではできません。ただし、日常的な管理行為は、持分の過半数の同意があれば可能です。

共有者が行方不明の場合はどうする?

令和5年4月の民法改正により、共有者が所在不明の場合でも不動産を管理・活用するための制度が整備されました。裁判所の許可を得て管理者を選任したり、一定の要件を満たせば所在不明者の持分を取得したりする方法があります。具体的な手続きは弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう。

共有持分の相続税評価額はどのように計算されるの?

共有持分の相続税評価額は、不動産全体の評価額に持分割合を乗じて計算するのが原則です。ただし、共有持分には権利の制限があるため、一定の評価減が認められる場合もあります。詳細は税理士に相談することをお勧めします。

共有物分割請求と買取請求はどう違うの?

共有物分割請求は共有関係そのものを解消するための請求で、どの共有者でも行使できます。一方、買取請求(民法第253条に基づくもの)は、管理費の立替えなど特定の条件を満たす場合に、特定の共有者の持分を買い取るための請求です。目的と要件が異なります。

すぐに実行できる具体的なアクション3つ

  1. 共有者間での話し合いの場を設ける 現在共有関係にある方は、まず共有者全員での話し合いの場を設けましょう。それぞれの希望や事情を共有し、共有不動産の今後について合意形成を目指します。オンラインミーティングツールを使えば、遠方に住んでいる共有者とも容易に話し合えます。
  2. 共有者間の合意事項を書面化する 話し合いで合意した内容は、必ず書面にしておきましょう。管理費用の負担方法、修繕の決定方法、将来的な売却の方針など、具体的に記載します。書式は特に決まっていませんが、日付と全員の署名・捺印があると良いでしょう。
  3. 専門家への無料相談を活用する 多くの弁護士事務所や司法書士事務所、共有持分買取業者は初回無料相談を実施しています。まずは電話やメールで相談の予約を入れ、専門家の意見を聞いてみましょう。複数の専門家に相談することで、より多角的な視点からアドバイスを得ることができます。

これらのアクションを通じて、共有持分に関するトラブルの予防や解決に一歩近づけることができるでしょう。問題の早期発見・早期対応が、円満解決のカギとなります。

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