【知らないと損!】賃貸の善管注意義務とは?初心者向けにわかりやすく解説!

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中西諒太
監修者
静岡県出身。城都不動産株式会社 代表取締役。宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー/日商簿記検定2級|賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社にて勤務後、独立。現在はWEBメディア運営と不動産賃貸業を経営。
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賃貸物件を借りる際に、多くの人が契約書にサインをするものの、その内容を詳しく理解していないことがあります。その中でも、「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」という言葉を見たことはある人もいるのではないでしょうか?

善管注意義務という言葉は一見難しそうに思えますが、簡単に言うと「借りている部屋を適切に管理し、丁寧に使う義務」のことです。自分の家ではないため、通常以上の注意を払って使用しなければなりません。

もし、善管注意義務を守らずに生活していると、退去時に高額な修繕費を請求されるリスクがあります。場合によっては、敷金だけでは足りず、追加で修理費を支払わなければならないこともあるので軽視できません。

退去時はクリーニング費や修繕費でトラブルになることが多く、国民生活センターに寄せられる賃貸トラブルの上位がこの退去時のトラブルです。そして、退去時のトラブルの原因として、善管注意義務についての知識不足というのもあります。

そこで今回は、善管注意義務の意味や、入居者が注意すべきポイント、退去時のトラブルを防ぐ方法についてにわかりやすく解説します。

これから賃貸物件に住もうと思っている人はもちろん、賃貸物件を貸す側であるオーナー様にとっても、退去時のトラブル防止のために役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

中西諒太

私自身、現在都内で不動産会社を経営しており、宅建資格も保有しています。プロの立場から実用的な方法を解説します。

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目次

善管注意義務とは?

まずはじめに善管注意義務とは、賃貸契約において「借主が通常の注意を払って、部屋を適切に使用・管理する義務」のことを指します。、賃貸契約を結ぶ際には必ず発生する義務です。

東京都の賃貸住宅トラブル防止ガイドラインにも次のように明記されています。

民法第400条は、特定物の引渡しの注意義務の規定ですが、他人のものを借りている場合、借主は、入居してから契約終了時に物件を貸主に明け渡すまでの間は、相当の注意を払って物件を使用、管理しなければならないという意味になります。これを「善管注意義務(善良なる管理者としての注意義務)」といいます。

賃貸住宅トラブル防止ガイドライン~概要~より引用

簡単に言えば、「自分の家ではないからこそ、大切に使うべき」という考え方です。

たとえば、次のようなものが当てはまります。

  • 住んでいる間に壁紙が汚れてしまった場合、すぐに掃除をして綺麗に保つ。
  • フローリングに傷がつかないように家具の下に保護シートを敷く。
  • 給湯器やエアコンなどの設備に異常を感じたら、早めに管理会社に報告する。

こうした小さな心がけが、善管注意義務を果たすことにつながります。

また、通常の使用と善管注意義務の違いについても理解しておくことが大切です。

たとえば、普通に生活していて発生する「経年劣化」については借主が責任を負う必要はありません。しかし、掃除を怠って水回りがカビだらけになったり、床を濡れたまま放置して変色させたりすると、善管注意義務違反となり、修繕費を請求される可能性があります。

特に退去時ではタバコのトラブルが多いです。タバコは善管注意義務違反ではありながらも、タバコによって汚れたクロスの費用負担は入居年数によって変わってくるという側面もあります。

「タバコを吸ってはいたけど、入居期間が長いからその分や大家が負担しろ」といわれたことがあるオーナー様もいるのではないでしょうか?

タバコについては契約書に定めれば汚損の全額負担を請求することも十分に可能です。詳しくは別の記事で解説していますので以下の記事をご参考ください。

関連記事:【賃貸退去時のタバコ問題】ヤニによるクロス原状回復費用や請求範囲を徹底解説!

善管注意義務違反の事例

賃貸借契約における善管注意義務違反とはどのような行為が該当するのかいまいちイメージがつかないかもしれません。善管注意義務違反は、賃借人の管理が不十分であったことが原因で、物件に劣化や破損をもたらした場合などが該当します。

ちなみに国土交通省でも善管注意義務違反による損耗や毀損は原状回復してくださいとあります。

国土交通省では、原状回復は「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。

要は、「わざとだったりうっかり傷つけてしまったようなところは入居者が負担してくださいね」ということです。

善管注意義務違反として考えられるものには以下のようなものがあります。

善管注意義務違反の具体例
  • エアコンからの水漏れを放置し、壁や床が腐食したりシミが出来たりした。
  • 部屋の床に飲み物をこぼしたのに放置した結果、フローリングがカビてしまった
  • 雨の吹き込みを放置して、窓枠が腐敗した
  • 水回りの掃除を怠り、水アカやカルキがこびりついて取れない。
  • 釘やネジを使って壁に穴を開けて、下地のボードが損傷してしまった
  • たばこのヤニが壁に染みついてしまった。
  • 風呂場や台所などの水回りの清掃を怠ったために、通常なら発生するはずのないカビや著しい汚れが発生した
  • 風呂の水を出しっぱなしにして水漏れを起こした。
  • 鍋を火にかけているのを忘れて壁を焦がした。
  • トイレや風呂に流してはいけないものを流し詰まらせた。

このように、入居者の管理が不十分であったために起こった劣化や損耗などが善管注意義務違反に該当するので、普段から部屋や室内の設備については大切に使用することが重要だといえます。

また、特に原状回復についてはクリーニング費用についてのトラブルが多いです。クリーニング費用については以下の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。

関連記事:【知らないと損する!】退去時のクリーニング費用は特約で無効になる?ルールを徹底解説

善管注意義務を怠るとどうなる?

善管注意義務を守らなかった場合、どのような問題が発生するのでしょうか?

① 退去時に高額な修繕費を請求される

例えば、壁に大きな穴を開けたり、床を傷つけたりした場合、それらの修繕費を全額負担しなければならないことがあります。特に、ペットを飼っていたり、喫煙をしていたりすると、壁紙の張り替え費用が大幅にかかることがあるため注意が必要です。

② 入居中のトラブルが発生する

例えば、うっかり水漏れを放置してしまうと、床や壁にカビが生えたり、階下の住人に被害を与えたりする可能性があります。こうしたケースでは、修繕費に加えて賠償責任が発生することもあります。

③ 退去後のトラブルにつながる

契約時に預け入れていた敷金の返還についても、大きな影響が出る可能性があります。敷金は、未収家賃や原状回復時の清掃や補修に充てるために、契約時に賃貸人に預けておく金銭です。家賃滞納がなく、破損箇所などもなければ、退去後速やかに敷金が返金されるのが一般的です。

しかし、賃貸契約終了後、敷金だけでは修繕費をまかないきれない場合は追加費用を請求されることがあります。

場合によっては、大家さんや管理会社とトラブルになり、スムーズに退去できないケースもあります。

賃貸契約時の注意点

善管注意義務違反が原因でトラブルにならないためには、契約時にきちんと確認しておくことが重要です。契約時に注意して方がいいことは以下になります。

契約書の内容の確認

賃貸借契約書には原状回復費用をめぐるトラブルを防ぐために善管注意義務について記載されているのが一般的です。

そのため、原状回復費用の負担割合が問題になる際は、賃借人が善管注意義務をしっかり守っていたかどうかがポイントになります。善管注意義務を守らず使用した結果、部屋を傷つけたり汚してしまったりした場合は、賃借人が負担しなくてはならない原状回復費用が増えます。

善管注意義務については賃貸借契約書に記載されているので、どのような行為が善管注意義務違反に該当するかを事前にしっかりと確認しておきましょう。もちろん、不動産オーナー様の場合は特約で善管注意義務について盛り込む内容をきちんと入居者に理解してもらうことも重要です。

というのも、オーナーが特約によりクロスの貼り替え費用を請求しても問題ないとされていますが、ガイドラインによるとこの特約は、以下を満たしていることが条件となっています。

賃借人に特別の負担を課す特約の要件
  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

一般に、賃貸借契約書は、貸手側で作成することが多いことから、トラブルを予防する観点からは、賃貸人は、賃借人に対して、本ガイドラインを参考に、明け渡しの際の原状回復の内容等を具体的に契約前に開示し、賃借人の十分な確認を得たうえで、双方の合意により契約事項として取り決める必要がある。

国土交通省ガイドラインより引用

以上のことから、お互いにあらかじめ揉めそうなポイントをきちんと理解し、条件を確認した上で契約することがトラブル防止には何よりも重要なことかがわかります。

室内状況の確認

善管注意義務違反を指摘されて、退去時にもめないようにするには、入居する前に室内の状況をチェックしておくことをオススメします。

というのも、善管注意義務違反による破損や損耗かどうかは、入居時と比較して行われることが一般的だからです。

「入居時は傷ついてなかったのに、解約時には壊れていた」などと賃貸人から指摘されても、入居時の状況が分からないことには、仮に入居時から壊れていたものであっても証明できません。

そのため、解約時のトラブルを防止するためにも、必ず入居前には室内の状況をチェックしておくことが必要です。一般的には、賃貸契約後の鍵渡しのときに管理会社から「入居時チェックシート」が渡されます。

もし渡されない場合はこちらから頼んでみるか、入居時の室内状態を写真で記録しておきましょう。

善管注意義務を果たすために気をつけるべきポイント

日常生活の中で、日頃から善管注意義務をしっかり果たすことができます。

例えば次のようなことを心がけていくとよりトラブルを防げます。

  1. こまめな清掃を心がける ほこりや汚れが溜まると、カビや悪臭の原因になります。特に水回りは湿気がこもりやすいため、定期的に掃除をしてカビやヌメリを防ぎましょう。
  2. 家具や家電の設置時に傷防止対策をする フローリングの床に傷をつけないために、家具の脚にフェルトシートを貼るのが有効です。また、ラグを敷くことで、床の摩耗を防ぐこともできます。
  3. 水漏れや故障を放置しない 設備の故障や劣化を見つけたら、すぐに管理会社や大家さんに連絡しましょう。早めに対応すれば、被害が広がらず、修繕費用も抑えられます。
  4. 契約書の内容を確認し、禁止事項を守る 契約書には、ペットの飼育禁止や壁への釘打ち禁止など、細かいルールが書かれています。知らずに違反すると、退去時に高額な費用を請求されることがあるため、契約時にしっかり確認しておきましょう。

ただし、最終的には大家さんや築年数次第で原状回復の対象範囲も変わってきます。

とはいえ状態は同じでも善管注意義務違反として原状回復を求められる場合と「少しの汚れだからクリーニングのついでに直しますよ」と、特に違反として扱われないことも十分にあり得ます。

そのためには、部屋の印象を良くしておくことが一番です。

普段から掃除をこまめに行い、退去時の検査も掃除をきちんとしてお返しするなどして「部屋を大切に使っていた」と感じてもらえるのがリスクなく取れる対策です。

まとめ

善管注意義務とは、借りた部屋を適切に管理し、大切に使う義務のことです。これを怠ると、退去時に高額な修繕費を請求されることがあるため、日頃から清掃や設備の管理を心がけることが重要です。

特に、水回りの管理、家具の設置方法、定期的な換気や掃除などを意識するだけで、トラブルを防ぐことができます。また、万が一の事態に備えて保険に加入しておくのも良い対策です。

普段のちょっとした気配りが、退去時のトラブルを回避することにつながります。

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