分譲マンションを買う時に、将来建て替えることを見越している人は多くありません。戸建てや賃貸の場合はオーナー自身の判断で修繕や建て替えをできますが、分譲マンションとなるとそう簡単に進めることはできません。
もし建て替えをしない、できない場合はどうなるのかをきちんと理解せずに分譲マンションを購入してしまったら、最初に計画していたローン返済のプランが変わったり、思わぬ出費につながるリスクがあります。
分譲マンションに数年住んで売却するのが確定しているのであれば、そこまで心配することではありませんが、少なくとも10年以上は住む可能性がある場合は分譲マンションの建て替えについて学んで損はありません。
そこで今回は「マンションは何年くらい住めるのか」「古くなったらどうなるのか」といった疑問や建て替えについて徹底解説していきます。
これから分譲マンションをマイホームで購入する人だけではなく、不動産投資での購入や現在保有している分譲マンションを将来的に売却する予定の人にとっても役立つ内容となっていますのでぜひ最後までお付き合いください。

私自身、現在不動産会社を経営しています。本記事では専門家や実体験に基づいた解説をしていきます。
ちなみに私が経営する城都不動産では、一都三県を中心に不動産事業をしています。お気軽にご相談くださいませ。

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取り扱い物件 | マンション |
対象エリア | 千葉・埼玉・東京・神奈川 |
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マンションの寿命は?

まずはじめに、マンションの寿命について解説します。マンションの寿命は2種類あります。
それは「物理的な寿命」と「経済的な寿命」です。
- 物理的な寿命:建物自体がどれくらいもつのか?
- 経済的な寿命:修繕費や維持費が高くなりすぎて、住み続けるのが難しくなるタイミング
それぞれ詳しく解説します。
物理的な寿命
マンションの寿命は建物の構造によって寿命は変わります。
- 鉄筋コンクリート(RC造):約60〜80年
- 鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造):約70〜90年
コンクリートの強度は一般・標準・高強度・超高強度に分られます。
一般なマンションは標準が使われています。大規模修繕が不要なのは65年。供用限界は100年となっています。
これはあくまでもコンクリートが剥き出しの場合で外装の仕上げをすると120年や150年に伸びます。もちろん、メンテナンスを怠ると劣化が早まります。
上記を踏まえてマンションは100年前後は持つ可能性が高いといわれています。
大規模修繕をすれば築50年の場合でも持つと考えていいでしょう。
経済的な寿命
築40年を超えると、修繕費用が高くなり、住民の負担が大きくなります。
- エレベーターの交換
- 外壁のひび割れ補修
- 配管の老朽化による水漏れ修理
- 耐震補強工事
こうした修繕に多額の費用がかかると、「建て替えを検討したほうがいいのでは?」という話が出てきます。
マンションの建て替えの実態

ここからはマンションの建て替えの実態について解説します。
国土交通省の統計によるとマンションのストック数は約686万戸。築30年以上は249万戸となっています。
数万棟のマンションが建て替えの候補となっている現状です。
しかし、実際に建て替えられているマンションはかなり少ないです。建て替えの実績は2024年4月1日の時点で297件となっています。
築30年以上の0.6%しか建て替えが実施されていないという状況です。
なぜこれほどマンションの建て替えは少ないのでしょうか。
マンションの建て替えが進まない理由

マンションの建て替えが進まないのは2つの理由があります。
手続きが長く煩雑というのと、費用負担が大きいという点です。具体的に解説します。
建て替えまでの手続きが長く煩雑
マンションを建て替えるには、住民の合意が必要です。日本では、「区分所有法」によって建て替えのルールが決められています。
また、建て替えプランや見積もり書を揃えて決議を取るのにも数年かかります。
このように、マンション建て替えをするまでに時間的にも労力的にも膨大なコストがかかるので、手続きを進めるのは簡単ではありません。
費用負担が大きい
マンションを建て替える場合、建築コストは坪100万かかることもあります。それだけではなく、解体日も坪10万前後かかります。
また、建て替え中の仮住まいの費用も追加で必要になります。特に高齢者の場合は賃貸での審査も厳しいので、簡単に賃貸へ引っ越すことはできません。人によっては建て替え費用はもちろん、賃貸の引越し費用も払えない人もいるでしょう。
費用負担が大きい上に、所有者の5分の4以上の賛成が必要という時点でかなり建て替えのハードルが高いです。築30年以上の0.6%しか建て替えが実施されていないのもこういった理由が大きな原因です。
建て替えできないとどうなるのか

それでは、マンションを建て替えできないとどうなるのでしょうか。
建て替えをしないとそのまま住み続けることになります。
しかし、これらはあくまでも建て替えたマンションの年数であり、前述したように大半なマンションは建て替えをせず、大規模修繕をしているのが現状です。
建て替えをしないまま大規模修繕をすれば100年前後はもつとはいわれますが、それでも日本の場合は築年数の古い物件に積極的に住もうと思う人は少ないというのが現状です。
住む人が少なくなったマンションの中には修繕積立金の滞納が増えたり、最悪の場合はスラム化する可能性があります。
こういったリスクを踏まえてマンション購入をする際は注意していく必要があります。それではどういった点に注意してマンション購入をすればいいのでしょうか。
マンション購入の際の注意点

ここからはマンション購入の際の注意点について解説します。
主な注意点は2つあります。
「修繕積立金がきちんとあるか」と「高齢者が少ないか」です。
修繕積立金がきちんとあるか
建て替えはなくても大規模修繕をすれば100年近くはもつといわれていますが修繕積立金がきちんと積み立てられていない場合は注意が必要です。
大規模修繕は建て替えほどではないにしてもかなりの費用がかかります。修繕積立金が積み立てられていない場合は、大規模修繕すら満足にできません。それだけではなく、滞納者がいるマンションは入居者の質も悪い傾向にあります。
もし修繕積立金が滞納されているマンションに住んだら、大規模修繕ができないのはもちろん、満足に生活できなくなるリスクもあるので注意が必要です。
高齢者が少ないか
マンション購入の際の注意点2つ目は高齢者が少ないかどうかです。
高齢者が多いと管理組合が機能しにくい傾向にあります。また、直接的な表現になってしまいますが、寿命が残り少ないので、建て替えをしてもメリットがなく、管理組合でも積極的に賛成する人が少ないです。少子高齢化の日本で、高齢者の割合が高くなっているものの、購入の際はなるべく若い人が多いマンションを選ぶのが賢明です。
修繕積立金と高齢者。最低でもこの2つには注意してマンションを購入しましょう。
まとめ
最後にまとめです。マンションを建て替えることで所有者が得られるメリットはそこまで多くありません。建て替えまでに時間・お金・労力がかかるので、そこまで意欲的に建て替えに向けて動く人もいないというのが現状です。
こういった建て替えにかかるコストを補うために、減税はもちろん、なにかしらのメリットがないと将来的に古いマンションばかりになり、中にはスラム化するところも増えてくるでしょう。
そうならないためには法整備が進むのを待つだけではなく、自分を守るためにも積極的に知識を身につけることが重要です。また、何か不安があれば身近に相談できる不動産会社を見つけていきましょう。
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