マンションは多くの人が共同で生活する場のため、時には隣人とのトラブルが発生することもあります。特に、近年問題視されているのが「騒音トラブル」です。
騒音は放置するとストレスがたまり、健康に悪影響を与えることもあります。また、最悪の場合は騒音が原因で事件に発展する可能性もあるので軽視できません。
本記事では、騒音トラブルの原因や対策、法律を使った解決法について、わかりやすく解説します。記事を読むことによって騒音のトラブルを回避し、快適なマンションライフを送るためのヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までお読みください。
私は賃貸管理会社で働いていたことがあり、不動産オーナーとしての経験もあります。両方の立場だからこそわかったことを解説していきます。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
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騒音トラブルとは?
住環境全般で見ても騒音のトラブルは増えているようで、2021年度に総務省の公害等調整委員会に寄せられた苦情のうち、騒音に関するものは1万8755件で、最も多かったのだそうです。
まず、騒音トラブルにはどんなものがあるのかを知ることが大切です。騒音問題は、住まいにおける生活の質を大きく左右する問題です。実際に起こりやすいトラブルや、その原因を見てみましょう。
よくある騒音トラブルの例
騒音トラブルの主な例として、以下のようなものがあります。
- 上の階の足音や家具の移動音
- 隣の部屋からのテレビや音楽、会話の声
- 外から聞こえる車のクラクションや工事音
- 振動音や金属音などの不明な騒音
騒音の大きさについて
騒音は音の大きさである「デシベル(dB)」によって分類されます。
こちらはデシベル数と音の目安になります。
ちなみに裁判では騒音は50dBが一つの目安です。過去の判例では、被告に「50dB以下で生活するように」と求めたり、50dBオーバーで損害賠償が出ている事例があります。
この画像でいうと書店の店内や役所の窓口周辺くらいの音量です。少しガヤガヤしているくらいのイメージだと思いますが、部屋の中だと50dBレベルでも不快に感じる人は少なくありません。
実際の判例から学ぶ騒音問題
騒音問題によって過去に訴訟が起きた事例もあります。実際に以下のようなトラブルで判決が出ています。
事件名称 | 判決 |
---|---|
上階子供の騒音に対する損害賠償請求事件 | ・被告は原告に対して36万円支払うこと ・被告は訴訟費用の1/6を負担する事 |
エアコン室外機からの騒音に対する損害賠償等請求事件 | ・エアコン室外機から発する騒音を原告の住宅敷地内に50デシベルを超えて到達させてはならない ・原告らに対し各10万円を支払うこと ・訴訟費用はその半分を被告が負担する事 |
立体駐車場の操業主に対する損害賠償請求が一部認容された事件 | ・被告は原告に対して221万円及び支払済みまで年5分の割合で金員を支払うこと ・訴訟費用は2/5が被告の負担 |
集合住宅内の騒音によりノイローゼ状態になったことで損害賠償請求が認められた事件 | ・原告らは被告に対して計30万円及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと ・訴訟費用は5/6が原告の負担 |
ミシンによる上階からの騒音に対する差止請求が認められなかった事件 | 原告の請求を棄却 ・訴訟費用は全て原告の負担 |
騒音トラブルは、単に迷惑なだけでなく、解決までに時間がかかることも多いので、最初にどのように対応していくかが重要です。
騒音が原因で起こった事件
騒音によって裁判になることもありますが、お金で解決できればまだ平和です。過去には騒音が原因で事件にまで発展したケースもあります。平和的に騒音問題を解決するためにもいくつか過去の事件について紹介します。
“福岡県警東署は29日、福岡市東区香椎浜、九州産業大4年で中国籍の田華茜(でんかし)容疑者(22)を傷害の疑いで緊急逮捕した。
発表では、田容疑者は28日午後9時頃、大学のパソコン室で同大夜間学生の女性(57)の頭を靴のヒールで殴るなどしておでこに軽傷を負わせた疑い。ヘッドホンから漏れる音が大きいことを注意されて口論になり、写真を撮られたことに激高したという。容疑を認めている。
日本騒音調査より引用
2016年5月19日午後5時頃、兵庫県尼崎市下坂部の文化住宅付近の路上で起きた殺人事件。
隣住民から「60代の男が凶器を持って暴れている」と110番通報が入った。
同住宅1階の玄関先で、同住宅2階に住む被害者2名(母娘)はハンマーで殴打された後、包丁で複数回刺され、娘は死亡、母親も意識不明の重体となった。
加害者は「以前から2階の音がうるさく、何度注意してもおさまらなかった。殺すつもりだった」と供述していたという。
Vanguard Smithより引用
1974年8月28日、神奈川県平塚市田村(現:横内)の県営団地で発生した、日本で最初に”騒音”が原因で起きたと言われる殺人事件。
「ピアノの音がうるさい」という理由で殺意を抱いた上階の加害者は、夫不在時に母娘3人を刺殺した事件。「迷惑をかけるんだから、スミマセンの一言くらい言え、気分の問題だ…」という走り書きも残されていたという。
犯人は犯行後バイクで逃走したが、3日後に自首をし、逮捕の後に死刑判決が下された。
Vanguard Smithより引用
騒音は自分が被害者にも加害者にもなる可能性があります。さまざまなリスクを考えて冷静に対処していくことが重要です。
苦情を入れる前にやるべきこと
いきなり苦情を入れるとトラブルが大きくなる可能性もあります。また、万一裁判になったときには主に以下の3点が重視されます。
- 騒音の大きさ(目安は50db)
- どこから騒音が発生しているか
- 騒音によって具体的にどのような被害があったか
冷静に対処するために、まず以下の準備を行いましょう。
騒音の記録を残す
騒音問題を解決するための第一歩は、騒音の実態を記録することです。記録は、相手に伝える際や法律的な手段を取る際に有効です。
- 騒音が聞こえる時間や頻度を記録する。
- 録音や動画を撮影して証拠を残す。ただし、法律に抵触しないよう注意が必要です。
原因不明の騒音への対応
騒音がどこから来ているのかわからない場合は、管理会社や大家に調査を依頼するのが最も安全です。自分で無理に原因を探ると、さらなるトラブルに発展する恐れがあります。
騒音トラブルへの具体的な苦情の入れ方
苦情を入れる際には、トラブルを悪化させないための配慮が大切です。
直接苦情を言う場合
相手に騒音をやめてもらうために、まずは直接話すことを検討します。ただし、伝え方を間違えるとトラブルが悪化する可能性もあるため、丁寧な言葉遣いと冷静な態度が重要です。
- 悪い例:
- 「いい加減にして!夜中にうるさいんだけど!」(感情的で相手を怒らせやすい)
- 良い例:
- 「最近、夜に足音が少し気になることがあります。防音マットを敷いていただけると助かります。」(具体的で穏やかな伝え方)
ただし、管理会社によっては直接入居者同士で連絡をとってはいけないというところもあります。そういった場合は管理会社に相談しましょう。
管理会社や大家に相談する方法
直接伝えても改善が見られない場合、管理会社や大家に相談しましょう。具体的な事実を伝えることで、管理会社がスムーズに対応できるようになります。
- 騒音記録を提出し、「何時にどんな音が聞こえたか」を明確に伝えます。
- 管理会社を介することで、住人間の直接的な衝突を避けられます。
調停や法的措置を考える場合
管理会社が対応しない場合や、相手が改善しない場合は、調停や弁護士を通じて解決を図る方法があります。調停では、第三者の意見を交えて話し合いが進むため、円滑に解決できることがあります。
上階の騒音をやめさせるための実践策
上階の住人からの騒音に悩んでいる場合、以下のような方法で解決を試みましょう。
物理的な対策
上階の住人に防音カーペットの使用をお願いするのが有効です。また、自分の部屋にも吸音マットを敷くことで、音の軽減が期待できます。
特に最近では防音性能が高いイヤホンやヘッドフォンも増えました。筆者は以下のような騒音対策グッズを使っています。
特にイヤホンやAirPodsの上からヘッドフォンをすると、外でもほとんど聞こえなくなります。それでも騒音が聞こえる場合はかなり音が大きいので録音すれば裁判にも有利になるでしょう。
法律や管理規約の活用
マンションやアパートの管理規約には、騒音に関するルールが記載されていることが多いです。これを根拠に改善を求めることができます。
騒音トラブルを未然に防ぐために
物件選びの際の注意点
防音性の高い物件を選ぶことで、騒音トラブルを未然に防ぐことができます。例えば、二重サッシの窓や厚い壁の物件は音漏れが少ないため安心です。また、周辺環境も確認しましょう。繁華街や交通量の多い道路に近い物件は、外部からの騒音が気になる場合があります。
自分が出す音への配慮
自分自身も音を出さないよう心がけることが大切です。夜間にはテレビの音量を下げたり、子どもが遊ぶスペースに防音マットを敷くなど、小さな配慮がトラブルを防ぎます。
ドアを閉める音や足音など、本人が思っている以上に周囲には聞こえます。マンションやアパートでは集合住宅で生活しているという意識をもって生活することがトラブル回避になります。
相談先と法的解決の道筋
ここからは、自分だけでは騒音トラブルを解決できない場合の相談先について解説します。
管理会社や大家
管理会社や大家は、住民間のトラブル解決において最初の窓口になります。騒音記録や具体的な状況を伝えることで、相手に対する注意喚起や改善指導を依頼できます。
【ポイント】管理会社が問題解決に積極的でない場合は、次の段階に進むことを検討しましょう。
自治体の窓口
各自治体には、近隣トラブルに対応する相談窓口が設けられています。地域住民の生活環境を守るため、必要に応じて第三者として調停役を務めてくれます。
【例】環境局、生活環境課など。
消費生活センター
消費生活センターは、消費者の立場でトラブルの相談を受け付ける機関です。具体的なアドバイスや問題解決のための支援を受けることができます。
調停機関(民事調停)
民事調停は、裁判所の調停委員が間に入って話し合いを進める制度です。裁判よりも手続きが簡単で費用も抑えられます。調停で合意が成立した場合、法的拘束力を持つ合意文書が作成されます。
【対象】管理会社の対応に不満がある場合や、加害者と直接話し合いが難しい場合。
弁護士に相談する
法的解決を視野に入れる場合は、弁護士に相談するのが最適です。損害賠償請求や差止請求など、専門的なアプローチで問題解決を図ります。
【費用】弁護士費用は発生しますが、内容によっては法テラス(日本司法支援センター)を利用して相談費用を軽減できます。
まとめ
騒音トラブルは冷静に対処することで解決できます。本記事で紹介した対策を実践し、必要に応じて管理会社や専門家に相談してください。快適な住環境を取り戻すためには、行動することが大切です。この記事を参考に、まず一歩を踏み出しましょう!
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