不動産屋は儲からない!?不動産業界歴6年の宅建士が実態を解説
「不動産」と聞くと儲かる仕事だと思う人もいるのではないでしょうか?ひと昔前だとベンツに乗りギラギラの高級時計とスーツを身につけ、クラッチバックを片手に夜の街を歩いているというイメージもありました。
不動産は儲かりそうという理由で独立や転職を考えていて本記事に辿り着いた人もいるでしょう。
そこで今回は不動産屋が儲からないのかについて解説していきます。
- 不動産屋は本当に儲かるのか
- 独立するのに向いているのか
- 不動産のビジネスモデルや経営の実態
また記事の後半では不動産業界に転職したい人や将来的に独立するにはどうすればいいかについても解説しています。
本記事を読むことによってこれから不動産の仕事に関わっていく人にとって参考になる内容となってます。
不動産業界は他の業界とは違った独自のルールや待遇があります。そのため、転職活動をするときはより不動産事情に詳しいところから情報収集をしていくことが重要です。不動産業界に強い転職エージェントは下記で紹介してますのでぜひご参考くださいませ。
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不動産屋が儲からない理由
いきなりですが不動産屋は儲かりません。厳密には「楽に」儲かる、「誰でも」儲かるという意味ではないということです。
会社や業種にもよりますし、不動産屋になったからといって誰でも楽に儲かるわけではないということです。
もちろん儲かっている不動産屋もあります。ただ、繰り返しになりますが、すべての不動産屋が儲かっているわけではないので、その点をより深堀りしていきたいと思います。
競合が多すぎ問題
不動産業界は比較的参入しやすい分、競合が非常に多いです。開業資金を抑えようと思えば300万円くらいで開業できるので、参入者が多いのは当然ともいえます。
実は不動産業者の数はコンビニよりも多いです。
年度 | 大臣免許 | 知事免許 | 合計 |
---|---|---|---|
平成28年 | 243,100 | 120,985 | 123,416 |
平成29年 | 250,500 | 121,277 | 123,782 |
平成30年 | 256,900 | 121,882 | 124,451 |
令和元年 | 260,300 | 123,035 | 125,638 |
上記は宅建業者数の推移です。
令和元年度末時点の宅建業者数は、約12万業者で5年連続の増加。全国のコンビニの数は約6万といわれているので、コンビニの2倍以上あるということです。ただ、廃業数も多く、新規業者とおなじくらい毎年撤退していく会社があります。
廃業の主な理由は売り上げの低迷です。競合が多い分、お客さんの奪い合いになるのは当然です。
出費が多い
不動産屋のビジネスモデルを「在庫を抱えない」という人もいます。仲介の場合は売上の多くが仲介手数料なので、在庫を抱えないという人がいるのも納得できます。
ただ、不動産屋は在庫を抱えないといっても出費は多いです。
人件費や事務所の家賃はもちろん、広告費がかかってきます。
たとえば物件をSUUMOなどのポータルサイトに掲載するだけでも毎月かなりの金額が発生します。もちろん広告媒体はポータルサイト以外にもたくさんあるので、広告費をかけようと思ったらキリがありません。
まさに札束の殴り合いになってしまい、中小企業が大企業が戦っていくのは厳しいです。
しかも最近では「仲介手数料はぼったくり」なんていう人も出てくる始末です。
直接的な言い方ですが、ネットでにわか知識を身につけたセミプロ気取りのような人が増えてきたので、そういった人達に対応するようなコストまでかかってきます。
仲介手数料を半額や無料にする業者も増えてきたので、まさに身の削り合いになってきています。ただ仕事をするだけで儲かるというわけにはいかないことがわかります。
不動産投資も儲からない
不動産投資も思ってるより儲からないというのが現状です。
不動産投資の実利回りは5〜10〜%くらいです。1億円の物件があっても年間500万〜1000万円なので、社員を抱えてたら厳しいでしょう。
しかもなかなか良い投資物件は見つかりませんし、不動産投資で儲かっている人も情報収集や運営などを徹底しています。
投資というと儲かるイメージがありますし聞こえはいいかもしれませんが、実際は事業ですし派手に儲かるわけではないです。
儲かってる業種
不動産屋の中でも儲かっている業種があります。
たとえば買取再販や不動産投資の営業です。共通しているのは自社で中古物件を買ってリフォームをしてから売りに出したり、自社でマンションを建てて売ることです。要するに自社商品を販売しています。
たとえば下記はリアルエステートWORKSとdodaの一棟仕入れの職種ですが、こういった業種は求人を見ても給料が高いです。
1件成約すれば高い利益が得られますが、その分デメリットもあります。それは資本力が必要でリスクが高いことです。
中古物件を買い取るには現金が必要ですし、それこそマンションを建設するとしたら億単位のお金が動きます。
なにより仲介と違って在庫を抱えることになるので、もし売れなかったら一気に経営がくるしくなります。
リーマンショックのときもこういった業態の不動産屋は一気に減りました。リスクとリターンは表裏一体ということですね。
今残ってる不動産屋はノウハウや人脈、資金力がある会社ばかりなのでそういった会社と戦っていき儲かるのはかなり難しいです。
関連記事:不動産業界に強い転職エージェントおすすめ
儲かる不動産屋になるには
とはいえ儲かる不動産屋になりたいという人も多いと思います。儲かるという定義自体は難しいですが、リスクが少なく軌道に乗せやすくする方法はあります。
小さく始める
いきなりお金を掛けてオフィスを借りるのにはリスクがかかります。
まずはフリーランスからはじめてみるのがオススメです。
不動産会社で数年経験してからの方がより独立してから安定しやすいです。私自身、いまはフリーランスとして個人で活動しています。
そしてフリーランスである程度お客さんを集めて安定した売上を作れるようになってから会社としてやっていくのが一番リスクが低いです。
「ラクしてボロ儲け!」というわけにはいきませんが自分が生活していくくらいになるのはこれが一番軌道に乗りやすい方法です。
フリーランスといってもただ紹介するだけで報酬がもらえるタイプもあります。不動産営業のフリーランスについては【高年収!?】フリーランスの不動産営業とは?現役宅建士が解説をご参考ください。
広告費を削る
前述したように、不動産はとにかく広告費がかかります。小さい不動産屋が大企業と戦っていくには広告費を削っていくことです。SNSは必須なツールです。
最近ではティックトックやインスタグラムなどのSNSだけを駆使して集客している会社もあるくらいです。
広告費を削ることでより高い利益率になります。長く継続しつつリピーターや紹介を増やしていけば儲かる不動産屋に近づきていくでしょう。
管理を取る
安定した売上を作っていくには毎月固定した収入が必要です。そのために管理を取ることが有効な手段です。管理とは賃貸管理のことで、不動産のオーナーから物件を預かり、毎月完了をもらいます。
1戸あたりの管理料はおおよそ5〜10%です。50,000円の家賃の場合は毎月2,500円〜5,000円になります。6戸のアパートの場合、毎月15,000〜30,000円の売上になります。
管理を増やしていけばいくほど、毎月の収入も増えていきます。
街でいかにも潰れそうなのに潰れていない不動産屋は管理戸数が多く、実は想像以上に儲かってるということもあります。安定した売上を作って基盤を確保しつつ、仲介や買取りに力を入れていくのがリスクが少ないですね。
独立希望の人へ
私自身、不動産会社員からフリーランスになり独立しました。
もし不動産屋での独立を考えている場合は、まずは不動産業界で3年ほど経験を積んだ方が確実にリスクが少なく有利に独立することができます。
不動産会社で経験を積むのであれば、部署が多かったり複数の仕事を経験できるなど「浅く広い」会社がオススメです。業界について広く知ることで自分にとってどの事業が向いているのかもわかります。
何を始めるにしても情報収集が一番重要です。
不動産業界に強い転職サービスもあるので、積極的に活用していきましょう。
具体的な転職サービスは以下の記事で紹介しています。
→不動産業界に強い転職エージェントおすすめ21選!選び方と成功のコツや注意点を徹底解説!
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