【東急不動産の欠陥マンション問題】ドエル・アルス世田谷フロレスタが突きつけた“住宅購入の現実”

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中西諒太
監修者
静岡県出身。城都不動産株式会社 代表取締役。宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー/日商簿記検定2級|賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社にて勤務後、独立。現在はWEBメディア運営と不動産賃貸業を経営。
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住宅は、人生で最も高額な買い物の一つです。安心・安全に長く暮らせることが前提であり、だからこそ多くの人が「大手不動産会社」や「有名企業の施工物件」に安心感を抱きます。

しかし、今回取り上げるのは、まさにその“信頼”が根底から崩れるような衝撃的な事例です。
舞台は、東急不動産が分譲した高級マンション「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」

1998年に竣工され、ブランド力と立地から即完売したこの物件が、20年後、数々の「致命的欠陥」によって大きなトラブルに発展。
住民と東急グループの間で、建て替えをめぐる争いが今なお続いています。

この記事では、フロレスタで何が起きたのかを丁寧に整理し、
そこから見える“住宅購入・所有”のリスクと対策について考えていきます。


目次

「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」とは?

まずは、問題となっている物件の概要を見ていきましょう。

  • 名称:東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ
  • 竣工:1998年10月
  • 階数:地上8階建て
  • 総戸数:49戸
  • 所在地:東京都世田谷区
  • 事業主:東急不動産(売上1兆円超の大手不動産)
  • 設計・施工:東急建設
  • 管理:東急コミュニティー

このように、**“東急グループがトータルで手がけたマンション”**であり、まさにグループの看板物件と言っても過言ではありません。

立地も世田谷というブランドエリアに加え、環状七号線沿いという利便性の高さもあり、分譲当時から注目を集めました。


最初の異変は「カビ」だった

すべてのきっかけは、竣工から約20年後の2018年。1階の住人から、管理組合にこんな相談が寄せられます。

「床や壁にカビが大量発生していて困っている」

当初は生活環境によるものと思われていましたが、複数の世帯で同様の症状が確認されたこと、そしてカビの量・範囲が異常であったことから、管理組合は東急不動産に検査を依頼します。

東急側は当初、渋々ながら「地下ピット(※)」の簡易調査を行いますが、驚くべきはその対応です。

東急の担当者は、地下に入ってわずか5分で「問題なし」と断定して出てきた。

しかも、その調査記録には明確な根拠がなく、「湿気の影響は考えにくい」といった曖昧な表現に終始していました。

さらに、調査時の写真には“脚立”が映っていたのですが、それは建設当時に使われて、そのまま忘れ去られたもの。通常、引き渡し前には一切の作業用資材が撤去されるのが常識です。

この時点で、住民たちは「このマンションには何かおかしいことがある」と疑い始めました。

民間調査会社によって暴かれた“施工不良”

東急不動産の対応に不信感を抱いた管理組合は、自ら予算を組み、第三者の民間調査会社に正式な調査を依頼
そこで発覚したのは、「地下ピットへの雨水の流入」と「複数の水たまり」の存在です。

このマンションでは、屋上に降った雨水が本来の排水ルートを通らず、施工不良によって地下に流れ込んでいたのです。
その結果、湿気が建物全体に広がり、カビの温床となっていました。

更なる調査で明らかになった「耐震構造の欠陥」

問題は湿気だけではありませんでした。管理組合は事態の深刻さから、次に「構造そのもの」に疑問を抱き、耐震調査を依頼。

そして判明したのが、致命的な耐震スリット不足です。

  • 必要数:183ヵ所
  • 実際の設置数:126ヵ所

スリットとは、地震の揺れによる衝撃を吸収するために壁や柱に設けられる“意図的な切れ目”のこと。
これが不足していれば、大地震の際に倒壊リスクが格段に高まります

この問題を指摘された東急不動産は、説明会を開きましたが、そこでの説明はさらに住民を混乱させます。

「コンピューターで再計算した結果、安全性に問題はありません」

しかしその後、管理組合が独自に専門家を雇い再検証したところ、
東急側が「手入力で」計算結果を書き換えていたことが発覚。

本来の計算結果では、「倒壊の危険がある」との警告が出ていたにもかかわらず、意図的に書き換えていたのです。


真北のズレにより“違法建築”が確定

さらに、建て替えのために再測量を行った結果、設計図に記載された「真北」の方角が実際より14度も西にズレていたことが判明。

このズレによって、現行の建築基準法で同規模の建物を再建築することが不可能になり、東急は突如「建て替え事業の断念」を発表。

住民に十分な説明をせず、「買い取り交渉」へと一方的に方針を変更しました。


住民への“個別圧力”と精神的被害

買い取り方針への転換後、東急は管理組合を介さず、個別の住民に直接連絡し交渉を開始

中には、弁護士名義で「法的措置も検討する」と書かれた通知を送られた世帯も存在します。

「あれは交渉ではなく、脅迫だ」
「うちの妻は精神的に参って、ノイローゼになってしまった」
「“戻りたい”と言うと、“戻らないでください”と東急に言われた」

このように、住民たちは居住権を事実上奪われている状態に追い込まれています。


他の物件でも同様の事例が?東急グループの体質

ネット上には、同じく東急建設・東急コミュニティーが関与する物件において、雨漏りや構造不良に関する口コミが複数確認されています。

  • 修繕後に水漏れが発生、調査依頼は“自費対応”
  • 漏水を「結露」と説明、保険の存在を意図的に説明せず
  • 苦情を申し入れても“原因不明”で片付けられる

これらの事例を見ると、同グループの対応には組織的な問題があると考えざるを得ません。


住宅購入者・所有者がとるべき対策

この事件から私たちが学ぶべき教訓は多くあります。

1. 専門家を早期に巻き込むこと

異常を感じたらすぐに第三者(建築士・構造設計士)に依頼。
「おかしいかも?」という感覚を軽視しないこと。

2. 購入前の“徹底的な調査”

立地や価格だけでなく、施工会社・管理会社の実績や評判をチェックすること。
「大手だから大丈夫」は通用しません。

3. コスト削減がもたらす影響を理解する

建築コストを極端に抑えた結果、構造安全性が犠牲になることもあります。
“安さ”の裏にある理由を考える視点を持ちましょう。


まとめ:これは“カビ”の話ではない。命の話だ。

今回のフロレスタ問題は、単なるカビや雨漏りの話ではありません。
構造的欠陥による倒壊リスク、設計ミスによる違法建築、企業による隠蔽と居住権侵害といった、極めて深刻な内容です。

東急不動産の物件だけでなく、どんな大手企業でも“人がつくる以上、ミスや隠蔽の可能性はある”という現実を、私たちは改めて認識する必要があります。


最後に…

もしこの記事をご覧になっている方の中に、同様の経験をした方、東急グループの物件に関わった方がいらっしゃれば、ぜひコメント欄で情報共有をお願いします。

声を上げなければ、何も変わりません。
声を上げれば、誰かを守れるかもしれません。

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