転勤が決まって、現在住んでいるマンションをどうするかという問題に直面している人もいるのではないでしょうか。
転勤と同時に自宅を売却するという選択肢もありますが、将来的に戻る可能性がある場合や資産価値を維持したい場合には、賃貸に出すことを考える人も少なくありません。
マンションを賃貸に出せば、家賃収入を得ながら所有し続けることができます。しかし、賃貸に出すにはさまざまな手続きや注意点があるため、準備を怠るとトラブルにつながる可能性があります。
本記事では、転勤時にマンションを賃貸に出す際のメリットやデメリット、必要な準備、契約の種類や手続きの流れについて詳しく解説します。
本記事を読んでいただくことによってしっかりと計画を立て、スムーズな賃貸運営をすることができますので、ぜひ最後までご参考ください。

私自身、現在都内で不動産会社を経営しており、不動産オーナーとしての経験もあります。実体験をもとに、具体的にどういった対策をすればいいか実用的な方法を解説します。
転勤時にマンションを賃貸に出すメリット・デメリット
転勤によるマンションの活用方法として、賃貸に出すことには多くのメリット・デメリットがあります。どちらも把握しておくことで、賃貸に出せば良いのか、売却すればいいのか判断する基準がわかります。
メリット
賃貸に出すメリットはおもに3つあります。具体的に解説します。
室内の状態が維持できる
マンションを空室にしたままだと十分な換気がされず湿気がたまったり、カビやダニが発生しやすくなります。放置していれば、当然室内の劣化が進むので、資産価値が下がりますし、転勤から戻ったときにも住みにくくなります。
しかし、賃貸住宅として貸し出せば、入居者が換気や掃除を行うため、空室のままにしておくよりも自宅が傷むのを防ぐことができます。また、入居者が住むことで空き家に侵入されたり、詐欺犯罪のアジトなどに利用されるリスクを減らすこともできます。
家賃収入が得られる
まず、最大の利点は家賃収入が得られる点です。転勤中も住宅ローンの支払いが続く場合、家賃収入をローン返済に充てることで、経済的負担を軽減できます。特にマンションの場合は固定資産税や管理費・修繕積立金などの費用もかかってくるので、こういった費用を賄えるのもメリットです。さらに、不動産の市場価値はエリアの発展によって上昇する可能性もあるため、売却のタイミングを見極める余裕が生まれます。
転勤後に再び住める
転勤する場合、数年で終わるケースも少なくありません。もし転勤が終わった時に売却していたら自宅に戻ることはできませんが、賃貸に出していれば退去後に再び自宅に住むことができます。
実際に、転勤して賃貸に出す場合は「定期借家契約」の場合が多いです。定期借家契約は期間を決めて、その期間が終われば解約することができます。
期間は自由に設定できるので、転勤が終わるタイミングで設定することもでいます。定期借家については別の記事で解説していますのでご参考ください。
関連記事:【保存版】普通借家VS定期借家!契約の違いとお得な選び方を解説!
デメリット
賃貸に出すのはデメリットも存在します。例えば、空室リスクがあるため、すぐに入居者が見つからない場合には家賃収入を得ることができません。
また、入居者が決まっても家賃滞納のリスクがあり、対応に追われることもあります。さらに、入居者が退去する際には原状回復費用が発生する可能性があり、思わぬ出費につながることもあります。賃貸をする場合には、これらのリスクを考慮し、管理会社の活用などを含めた計画を立てることが重要です。
また、長期的な視点で考えると、賃貸運営には修繕費用の積み立ても必要になります。エアコンや給湯器の故障、壁紙やフローリングの劣化など、年数が経つにつれてメンテナンスが必要な箇所が増えてきます。こうしたコストを見越した上で、適切な管理計画を立てることが求められます。

大家業は「放っておいても勝手に家賃が入ってくる不労所得」と認識する人もいますが、それは大きな間違いです。大家”業”とついているだけあって事業になります。ノウハウや経験がないとトラブルに対処することも難しいので、不安な場合は賃貸管理会社を探すのがおすすめです。
賃貸管理を検討している人にとって、賃貸管理の窓口は有力な選択肢の一つです。専門の見積もりサイトだからこその管理ノウハウやネットワークがあるので、少しでも賃貸管理の窓口が気になる場合は、まずは査定をしてみてどのように賃貸管理をすればいいのか提案を受けてみましょう。→詳細はこちら
マンションを賃貸に出す前のチェックポイント
賃貸に出すか売却するかを決める前に、まずは転勤期間の長さを考慮することが重要です。
短期間(1~3年)の転勤であれば、賃貸に出すことで所有権を維持しながら収益を得ることができます。一方で、5年以上の長期間であれば、売却を検討するのも選択肢の一つです。
次に、マンションの管理規約を確認しましょう。分譲マンションの場合、管理組合の規約によっては賃貸が禁止されているケースもあります。事前に管理組合に問い合わせ、問題なく貸し出せるかをチェックしておくことが大切です。
また、物件の状態を確認し、必要なリフォームや修繕を検討することも欠かせません。壁紙の汚れや床の傷み、エアコンや給湯器の状態をチェックし、必要なら修繕を行いましょう。賃貸市場で競争力を持つためには、清潔感や使い勝手の良さが大きなポイントになります。
さらに、家具や家電を備え付けることで、より魅力的な物件としてアピールできる場合もあります。空室対策のアイデアについては別の記事で解説していますので、もしよろしければご参考ください。
関連記事:【オーナー必読!】空室対策のプロが教える効果抜群のアイデア集
マンションを賃貸に出す手順
マンションを賃貸に出すには以下のような手順で進みます。
- 不動産会社への依頼の範囲を決める
- 管理会社を選ぶ
- 賃貸条件を決める
- 入居募集を行う
- 申し込みが入ったら契約手続きに進む
不動産会社への依頼の範囲を決める
まず始めに不動産会社にどういった業務を依頼するか決めましょう。賃貸の場合、「入居募集」と「入居管理」の2種類があります。
賃貸で貸し出す場合、入居募集だけ依頼する方法もありますが、家賃回収や入居者トラブルの対応は自分で対応しなければなりません。もちろん、入居管理を依頼する場合はクレーム対応などの管理業務も不動産会社が行ってくれます。
入居募集だけ依頼するのも一つの方法ではありますが、転勤先が遠方の場合は突発的なクレーム対応をするのは簡単ではありません。特に仕事で忙しい場合はクレーム対応が後回しになり、入居者から不満が溜まります。管理の印象が悪ければ退去にもつながるので、自分で対応できる自信がない場合は管理を依頼した方がいいでしょう。
自主管理と管理委託の違いについては別の記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
関連記事:自主管理と管理委託の違いは?メリット・デメリットや選ぶ基準を徹底解説!
管理会社を探す
次に、賃貸管理会社を選びます。自分で管理する方法もありますが、入居者対応や家賃回収、修繕対応などの負担を考えると、管理会社に委託するのが一般的です。管理会社によって手数料やサービス内容が異なるため、複数の会社を比較し、信頼できる会社を選びましょう。
賃貸条件を決める
次に賃貸の条件を決めることが重要です。家賃は周辺の相場を調査したうえで適正な価格を設定しましょう。敷金や礼金の有無、契約期間(普通賃貸借契約か定期借家契約か)についても決定する必要があります。
申し込みが入ったら契約手続きに進む
入居者募集を開始したら、物件の内見対応を行います。魅力的な写真を掲載し、清潔感のある状態を保つことで、内見時の印象を向上させることができます。入居希望者が決まったら、賃貸借契約を締結し、鍵の引き渡しを行います。契約内容をしっかり確認し、トラブルが発生しないようにしましょう。

もちろん、状況によっては手順が前後することがあります。初めて賃貸に出す場合はまずは不動産会社に相談するのもおすすめです。
転勤から戻る際の注意点
転勤が終わり、再びマンションに住む予定がある場合、契約形態に注意する必要があります。普通賃貸借契約では、入居者に住み続ける権利があるため、オーナーの都合で退去してもらうのは難しくなります。一方、定期借家契約であれば、契約期間が終了すると確実に退去してもらえるため、転勤から戻る予定がある場合には定期借家契約を選択するのが望ましいでしょう。
また、退去時の原状回復費用についても確認しておきましょう。国土交通省のガイドラインに基づき、オーナーと入居者の負担範囲を明確にしておくことで、退去時のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
転勤時にマンションを賃貸に出すことで、家賃収入を得ながら資産を維持することができま
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