マンションや集合住宅に住む際、多くの人が快適さや便利さを期待しますが、近隣トラブルに巻き込まれるリスクも少なくありません。その中でも特に頻発し、多くの人を悩ませているのが「騒音トラブル」です。実際の調査によると、近隣トラブル全体の約7割が騒音に関連する問題であることが明らかになっています。
騒音トラブルの深刻さ
株式会社バンガードスミスが2024年に実施したアンケート調査によると、近隣トラブルを経験した人のうち、実に68%が「生活音や騒音」を問題として挙げています。筆者も過去に賃貸管理会社で勤務した経験があり、その際に受けたクレームの半数以上は騒音に関するものでした。実際、騒音問題は住民のストレスを増大させ、時には深刻な精神的トラブルを引き起こすことも珍しくありません。
実際の騒音トラブル事例の紹介
事例1:外国人住民によるバーベキュートラブル
外国人住民が毎週末にマンションのルーフバルコニーでバーベキューを行い、夜中まで大声で騒ぐ事例が発生しました。特にコロナ禍で外食が難しい時期であったため、多くの友人を招き頻繁に開催されました。管理会社に苦情を申し立てたものの、マンションの規約にバーベキューを禁止する明記がなかったため、管理会社は消極的な対応しかせず、結果的に住民同士が直接対立する事態にまで発展しました。
このトラブルには以下の二つの問題点がありました。
- 当初の段階で、住民同士が良好な人間関係を築けなかったこと(バーベキューへの参加を断ったことが原因の一つ)。
- 管理会社が規約にないからと対応を拒否したことにより、対立が深刻化したこと。
事例2:子どもの足音に関する騒音トラブル
もう一つの事例では、子どもの足音が原因で下階の住民が苦情を申し出るケースがありました。子どもの足音というのは完全に防ぐことは難しく、親側も注意はしていたものの問題が完全に解決することはなく、苦情を出した下階の住民が最終的には引っ越してしまいました。このように騒音トラブルはどちらの立場でも辛い結果を招く可能性があります。
騒音トラブルが引き起こす深刻な事件
騒音トラブルが極端に悪化した場合、深刻な犯罪にまで発展するケースがあります。その代表的な事例として挙げられるのが、1974年に神奈川県平塚市で起きた「ピアノ騒音殺人事件」です。この事件は、日本で初めて騒音問題をきっかけに発生した殺人事件として知られています。騒音に耐えきれずに加害者が上階の住民一家を殺害するという非常に悲惨な結末を迎えました。このような事件を防ぐためにも、日頃からの対策や管理会社の積極的な対応が重要です。
騒音トラブルを防ぐための具体的な対策
騒音トラブルを予防、または早期解決するためには以下のような具体的な対応が求められます。
- 管理会社への迅速な相談 騒音が発生した場合は早い段階で管理会社へ報告しましょう。管理会社が迅速かつ適切に介入することで大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
- 入居時のルール確認と共通認識作り マンションに入居する前や直後に、明確なルールの確認や共有を行い、住民間でのトラブル防止に努めることが重要です。
- 直接の接触を避ける 当事者同士で直接注意すると感情的な対立が深まる可能性があるため、騒音問題が発生したら管理会社や第三者を介して冷静に対処しましょう。
- 記録を取る 問題が継続する場合には、騒音の日時や内容を記録しておくことが役立ちます。証拠を明確にすることで対応がスムーズになります。
騒音問題を軽視すると取り返しのつかない事態に発展する恐れがあります。快適な住環境を維持し、安心して暮らすためにも、しっかりとした騒音対策を行っていきましょう。
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